「ゼクシィBaby 妊婦のための本」の尾花晶編集長は言う。
「妊娠中や出産後、約6割の方が心の不調を訴えています。わけもなく悲しく、無気力になり、『自信もなくなる』という声が上がっています」(尾花編集長)
そこで尾花編集長が伝えたのは、パートナーが言ってはいけない「べからず集」である。これは、会見後に開催された、赤ちゃんとの生活をもっと楽しむためのイベント「ゼクシィBaby おでかけPark」で披露された。
尾花編集長は「『あいしてます』の順で覚えてください」と前置きして、以下の6つを挙げた。
1.あ あとでいい?
2.い いってくれたらやるのに
3.し しごとがあるんだよね
4.て てつだうよ
5.ま まかせるよ
6.す すごい疲れた
尾花編集長は「パートナーにこのような言葉を投げかけることは、パートナーの気持ちに寄り添っていない」「出産・育児は、パートナー同士で一緒に歩んでいくことが大切。妊産婦のなかには『自分のことは自分で解決する』という人もいるが、だからこそパートナーの助けや周囲の助言により楽になる」と解説する。
「赤ちゃんの抱っこしすぎはダメ」は迷信?
妊娠中や出産後の心の不調について、パネルディスカッションで日本赤十字社医療センター第三産婦人科の笠井靖代部長も同調した。
「出産はおめでたいことですので、『なるべく自分がしっかりしないといけない』と考えますが、周囲のサポートを受けることが必要。産後は不安も漠然としており、その不安が自身のことなのか、子どもの健康なのか、今後の育児のことなのか、整理することが大切」(笠井部長)
また、笠井部長は「子どもの抱っこ」について言及した。「昔は『抱き癖がつくから、あんまり抱くのはよくない』という考えが主流でしたが、今は『愛情を寄せるために抱くことが大切』という考えです。祖母世代の情報は古くなっており、サポーターとなる人に正しい情報を伝達することが肝要」(同)
東京医科歯科大学医学部付属病院精神科の竹内崇講師も、「(出産後は)一定の割合でメンタルヘルスに不調をきたすが、それは本人の責任ではない。心のバランスの問題で赤ちゃんをかわいいと思えない、けれども苦悩を表出できない。だからこそ、妊産婦やパートナーには知識の普及が大事」と述べ、精神的なサポートの重要性を訴えた。
その知識の基になる情報だが、適切な情報を収集できずに苦悩する妊産婦もいるのが現実だ。そこで、竹内講師は「(情報のソースとして)重要なのは、学会や医師が直接執筆しているかどうかで取捨選択すること」とアドバイスした。