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アルコール依存症に匹敵 「孤独」がもたらす健康リスク

新刊JP
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※画像はイメージ(新刊JPより)。

 コロナ禍で思うように出かけられず、人と会えなくなってから一年半あまり。

 人と会って会話をすることが失われたことによる孤独やさみしさにもずいぶん慣れた、という人も多いだろうが、孤独というものは慣れても健康上のリスクを高めるもののようだ。

 「孤独」と「死」の関係について知っているだろうか。孤独な人が孤独に亡くなるのが孤独死だが、孤独というものは死を早めもするのである。

「孤独」は1日たばこ15本に匹敵する?!

 『世界一孤独な日本のオジサン』(KADOKAWA刊)は、日本における孤独死の背景と原因に迫る一方で、孤独そのものが人の体と心をむしばんでいく現実にも触れていく。

 イギリスは2018年に「孤独担当相」を任命し、国家として孤独を問題視していることを示した。本書によると、イギリスに限らず、今世界では「孤独」が人の精神的・肉体的健康上、最も憂慮すべき問題として語られ、「寂しさは人から人へ伝染する」という研究結果から「孤独というエピデミック(伝染病)」という考え方が広まっているという。

 世界中で孤独がここまで問題視されている原因として、「孤独による死」の存在がある。アメリカ・ブリガムヤング大学のホルトランスタッド教授の研究が象徴的だ。

 ホルトランスタッド教授は2010年、148の研究、30万人以上のデータを対象とした分析を行い、「社会的つながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」とする結果を発表した。(P42より引用)

 さらには、孤独であることのリスクを

・1日たばこ15本吸うことに匹敵する
・アルコール依存症であることに匹敵する
・運動をしないことよりも高い
・肥満の2倍高い

 と結論づけた。同教授の研究結果のほかにも、孤独と疾病との関連を指摘した研究結果は数多くあり、うつ病や統合失調症、薬物やアルコールの乱用、心臓病、血管疾患、がんなど多岐にわたる病気のリスクが孤独によって高まることがわかっている。

孤立はすなわち「死」だった時代

 本来、人間は「社会的動物」であり、孤独になることを避ける生き物だ。人間が外敵と戦い、生きながらえていくためには、他者との結びつきが必要であり、孤立はすなわち「死」だった。だからこそ、人間の体は「孤独」に対して強いストレス反応を示すように設計されている。

 この状態になると、体内でストレスホルモンが増加し、高血圧や白血球の生成に影響を与え、心臓発作などが起こりやすくなるとされる。また、孤独な人ほど炎症を起こす遺伝子が活発化し、炎症を抑える遺伝子の動きが抑制されるため、免疫システムが弱くなり、感染症や喘息などへの抵抗力が低下する。これが、「孤独」がさまざまな疾病を引き起こしやすくする原因の一つになっているのだという。

 では、どんな人が孤独にやりやすいのか。本書では孤独に陥りやすい層として「中高年」、さらには「男性」を切り取っているが、コロナ禍ではより多様な人が孤独に陥りやすい。

 生涯未婚率が上がり、高齢化が進む日本を「孤独」は確実にむしばみ、コロナはそれを確実に加速させている。「孤独による死」の実態を知るために、本書はきっと役立ってくれるはずだ。(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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