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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

日本近海、マイクロプラスチック汚染の「ホットスポット化」…海産物汚染で人体に混入も

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
日本近海、マイクロプラスチック汚染の「ホットスポット化」…海産物汚染で人体に混入もの画像1「Getty Images」より

 第197回臨時国会冒頭における、安倍晋三首相の所信表明演説を受け10月30日、自由民主党を代表して橋本聖子参議院議員が質問に立ちました。

 そのなかで橋本議員は「もうひとつの深刻な地球規模の環境問題である海洋プラスチック問題についても、指摘したいと思います。近年、5ミリ未満のマイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻化しています。北極や南極でも観測されたとの報告があり、全地球規模で広がっています」との懸念を示しました。

日本近海、マイクロプラスチック汚染の「ホットスポット化」…海産物汚染で人体に混入もの画像2

 ご存じの方も多いとは思いますが、実はこのマイクロプラスチック問題は、非常に根が深いのです。夏の海水浴シーズンを前に、海辺に散乱したプラスチックゴミの清掃をする方々の姿を目にすることもあると思いますが、それらはごく一部であり、海洋プラスチックの大半は海洋中を漂い、蓄積されています。そのようなマイクロプラスチックには、人体に有害な化学物質が付着し、まずは魚介類の体内に入り込み、最終的にはそれらを摂取する人間の体に入り込んでいるのです。

 橋本議員は続けて、レジ袋の問題についても言及されました。

「残念ながら、重量ベースで見ると、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過するとの予測もあります。今から10年前、私は外務副大臣としてケニアを訪れたことがあります。その頃からケニアでは、家畜が誤ってビニール袋を食べるなどの深刻な環境問題が発生しており、いわゆるレジ袋への厳しい規制が議論されていました。海外からの持ち込みにも厳しい目が光っていたほどです」

 すでにEUでは、海洋生物保護のために使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案が出されていますし、フランスでは小売業でのプラスチック製ポリ袋は使用禁止です。土に還る「バイオマス原料」のポリ袋でなければ罰金を科されます。日本とは違い、先進国では、プラスチック削減に向けて、さまざまな取り組みが行われているという現実があります。

「四方を海に囲まれ、動物性たんぱく質の摂取を魚に依存しているわが国でも、マイクロプラスチックなどの海洋プラスチック問題に実効性のある対策を率先して進めるべきです。本年6月のG7シャルルボワ・サミットで、日本が議長を務める2019年のG20でも海洋プラスチック問題に取り組む意向である旨の総理の発言がありました」

 橋本議員はこのように述べていますが、いささか言葉足らずというべき発言です。あるいは、意図的に不明瞭な言い方をしているともとられかねない発言です。というのも、6月8日、9日の2日間にわたってカナダで開かれたG7シャルルボワ・サミットの最後に、自国でのプラスチック規制強化を進めようという「海洋プラスチック憲章」を発表し、参加した7カ国のうち英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国プラスEUは、それに署名しました。しかし、日本とアメリカの2カ国は署名することを拒んだのです。おそらくそれは、プラスチックゴミを大量に排出する企業に対する配慮からです。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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