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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

日本近海、マイクロプラスチック汚染の「ホットスポット化」…海産物汚染で人体に混入も

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 果たして、本当に19年のG20で、日本の首相がリーダーシップをとって、この問題に立ち向かうのか、甚だ疑問です。これまでの安倍首相の言動を見る限り、とても期待など持てません。

プラスチックゴミを出さない、またはリサイクル

 一方、マイクロプラスチック問題は悪化の一途を辿っており、世界での平均的な海に比べると、日本近海のマイクロプラスチック密度は一桁多く、日本の周りはマイクロプラスチックの「ホットスポット」になっている、との指摘もあります。

 もう、この問題は対岸の火事ではありません。私たちの身に迫る、切実な問題です。その背景にあるのは、私たち自身の消費生活のあり方だと筆者は考えます。本連載前回記事で、食品ゴミの問題について言及しましたが、このマイクロプラスチック問題もそれと同様で、私たち自身の生活のあり方、つまりライフスタイルに深く関連しています。

 とりわけ、影響が大きいのは食生活のあり方です。あふれるほどのペットボトル入りの飲料、ファストフード、弁当、カップラーメンなどの容器、小分けに包装されたスナック菓子などのジャンクフード。これらから出る大量のプラスチックゴミは、最終的に海の中に入り、太陽光線を浴びて劣化し、やがてはマイクロプラスチックに変化していくのです。ほかにも、マイクロビーズと呼ばれる、歯磨き剤や化粧品などに入っている研磨剤やスクラブとか、フリースなどの化学繊維、自動車のタイヤの磨耗などもマイクロプラスチックの発生源となります。

 あまりにも便利な生活に慣れきってしまった私たちは、立ち止まって、今の自分の姿を見直す時間さえ取ることができずに数十年を過ごしてしまいました。その間に、地球環境は、見えにくいところから徐々に劣化していたのです。

 そんな私たちに今すぐできることは、過剰な包装をしている食品などをはじめとした商品を購入しないことではないでしょうか。ファストフードや、コンビニで売られている食品を買わないことです。買い物に行く時には必ず、買い物袋を持って行くことです。ゴミの排出を極力少なくすることが前提ですが、それでもやむを得ず家庭から出てしまったプラスチックゴミは、面倒くさがらずにリサイクルに回すことです。

 それは小さな「初めの一歩」ではありますが、やがて大きな歩みにつながっていくと確信します。私たち自身がやらなければ、ほかの誰もやりません。この問題の解決を政府に任せようとするのは、たいへん愚かな選択だと思います。未来の子供たちに残すツケは、借金ばかりではないのです。減ることのないマイクロプラスチックを、「絶対に、これ以上増やさない」と、すべての賢明な人々は心に誓うべきではないでしょうか。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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