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日本の野菜が栄養不足になってしまった原因のひとつは、土の中の微生物の数が激減したからです。一説によると、微生物の数が以前と比べて10分の1にまでなってしまっているそうです。それこそ、戦前までは、日本には農地が今よりはるかに多くありましたし、農業に従事する人の数も、比べものにならないくらいいました。その頃は、農家が育てていた動物たちの糞や、人糞も肥料の一部になっていましたし、油粕や魚粉なども肥料としては貴重なものだったのです。それら有機物を、土の中に棲息する微生物たちが分解し、窒素やリンなど無機物に変換します。それを吸収した作物が、光合成を行いながら成長していく、という過程が繰り返されていたのです。
それはいわゆる「有機農業/オーガニック農業」ですが、ある程度の時間を要しますし、また生産者の負担も大きいことから、化学肥料が開発され使われるようになっていきました。化学肥料が大量に使われるようになった背景には、戦争で使われていた爆薬が化学肥料に転換されたといういきさつもありますが、今回はこのことには触れません。
化学肥料を使うと、一時的には収穫量が増えます。しかも、製造された肥料を撒くだけですから、農家としては肥料をつくる必要もなくなり、かなりの省力化になるので、多くの農家が取り入れるようになっていったわけです。
しかし、化学肥料は無機物なので、土の中に棲息している微生物のエサにはならず、徐々に微生物の数が減っていくことになります。化学肥料を使用する前は、1立米あたり数億匹もいた微生物が、現在は約10分の1以下にまで減っているといわれます。土の中の微生物がいなくなってしまうと、野菜の生育に必要な栄養分が供給されないので、さらに化学肥料が必要になります。ここ数十年にわたって、それを繰り返してきたのが日本の農業です。
そうして、地力が衰えた農地は、作物を生産するためにより多くの化学肥料を入れるようになっていきます。それがゆえに、そこで育つ野菜たちも必然的に栄養不足になってしまうのです。肥料の「三大要素」は窒素、リン酸、カリウムです。それに次いで重要なのは、「中量要素」といわれるカルシウム、マグネシウム、イオウです。そしてもうひとつ欠かすことができないのが、「微量要素」と呼ばれる鉄、マンガン、銅、ホウ素、亜鉛、モリブデン、塩素だと考えられています。こういった栄養成分をつくり出してくれていた微生物は、計り知れないほどの役割を担っていたわけです。
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