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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

花粉症、医師が教える「ピタリと解消」する意外な方法

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

「小青竜湯」も効果的

 日本語の「春」の語源は「張る」である。春になるとたけのこやつくしが土から顔を出し、木の芽が少しずつ膨らんでくる。つまり春は種々のものが「張り出てくる」時期なのである。英語の「春」=「spring」には「飛ぶ、跳ねる」という意味もある。日本語も英語も、春の意味の根源は共通しているのである。

 寒さを防ぐために、冬にたくさんため込んでいた余分な脂肪や水分、老廃物を体外に出して、暑い夏に向かって身軽になろうとしている反応のひとつに花粉症などのアレルギー反応がある、といってもよい。

 こうしたことを念頭に置いて、「花粉症対策」を以下に記してみる。

(1)花粉をシャットアウトする

1.花粉飛散の多い時期の不要不急の外出を控える
2.外出するときは、マスクやメガネで花粉から鼻や目を守る
3.外出先から帰宅したときは、服についた花粉を玄関外で払う

(2)運動、入浴、サウナ、岩盤浴などで発汗、排尿を促し体内の余分な水分と老廃物を捨てる

(3)のどが渇いたとき以外には、不必要な水分(水、お茶、コーヒー、炭酸水)を摂ることをやめる

 それでも花粉症がひどく、生活に支障がある場合、医療機関でステロイド剤や抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤を処方してもらう必要がある。

 しかし、その前に2000年も前から使われている漢方薬の「小青竜湯」を試してみる価値は大いにある。

「小青竜湯」は、

1.麻黄(マオウ科の茎)
2.乾姜(生姜の根茎)
3.桂皮(クスノキの樹皮)
4.細辛(ウスバサイシンの根茎)
5.半夏(カラスビシャクの塊茎)
6.五味子(チョウセンゴミシの果実)
7.芍薬(シャクヤクの根)
8.甘草(マメ科の根)

より構成されており、1~6は「体を温める」作用があり、1,4,5,6,7は、「発汗・排尿を促して、体内の余分な水分を捨てる」作用がある。

「小青竜湯」の適応症として

イ.くしゃみ頻発
ロ.涙(のう炎)
ハ.鼻水、鼻炎
ニ.うすい水様痰を伴う咳(気管支炎、喘息)

が挙げられているのは、これまでの説明から納得いただけると思う。

 軽症~中等症の花粉症は「小青竜湯」だけで解消される可能性が十分ある。中等症以上の花粉症には「抗アレルギー剤」と「小青竜湯」を併用すると、「抗アレルギー剤」の服用量が少なくてすむはずだ。

 いずれの薬も、漢方に詳しい医師や薬剤師に診察・相談していただき、処方してもらう必要がある。知ったかぶりをして、「花粉症対策」を述べている私も、実をいうと油断すると2~4月には、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状が出る。それは、運動もせず、ビール(という水分)を飲み過ぎたときである。

 花粉症が出現した場合、ジョギングをして汗をかき、その後サウナに入ってさらに大量の発汗をし、仕上げに「小青竜湯」を服用すると、ピタリとよくなる。

 つまり、花粉症は漢方でいう水毒症(体内に水分が多くて起こる症状)であることを、私自身が身をもって体験しているのである。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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