慌ただしい年の瀬だが、そろそろ「おせち」の準備を進めなくてはいけないと焦り始めている人もいるかもしれない。だが、手づくりにすると手間がかかるし、出来合いを購入するにしても高くついてしまうため、つい迷ってしまう。
そこで気になるのが、「ローソンストア100」の“100円おせち”。こちらは、その名の通りおせちの定番ラインナップを各108円(税込、以下同)で購入できるシリーズだ。2011年暮れに誕生した“100円おせち”は、昨年は過去最高の売上と累計約900万食という販売数を記録。続く今年も注目度が高いようで、さまざまなメディアで取り上げられている。
しかも、なんと今年から高級食材である「あわび」を使った『味付けあわび』が新商品として登場。あわびが丸々一個入ってお値段はそのまま108円という衝撃的なこの一品は、クオリティもあわせて気になるところだ。
そこで、今回は『味付けあわび』を実食してみることに。さらに、そこからプラス1080円を使っておせちの定番メニュー10種購入。どれだけ豪華なおせちが出来上がるのか、またそのクオリティはどれほどのものなのか、忖度ナシで実証レビューする。
品切れ店舗多数、『味付けあわび』は108円にしては“十分すぎる”クオリティ
『味付けあわび』は、殻付きのあわびを醤油ベースの味付けで煮込んだという一品。そんな同商品を求めて、筆者は12月27日、都内のローソンストア100の店舗に足を運んだ……のだが、なんと『味付けあわび』が店頭に並んでいなかった。どういうことかと店員に尋ねてみると、各店舗一律で入荷数が決まっており、その店舗ではなんと発売初日の25日にすべて完売してしまったのだという。
筆者の場合、3店舗目でようやく『味付けあわび』を入手することができた。もし気になっている方がいれば、都市部の店舗よりも来客数が少なそうな郊外の店舗を狙ったほうがゲットできる可能性は高いかもしれない。
入手した『味付けあわび』のフタを開けると、醤油で味付けされただしが一杯に入っていた。なるほど、これによって食べる直前まで味を染み込ませることができるということか。
漬かっていたあわびは、4〜5cmほどでやや小ぶり。しかし、そのルックスは正真正銘、本格的なあわびだ。味わいへの期待も高まる。
身を外して一口で食べてみると、甘く味付けされた醤油の味が口いっぱいに広がった。かなり味が染み込んでいる印象だ。さらに味わっていくと、あわびの旨味と独特のほろ苦さが出てくる。食感はプリプリで、歯ごたえもバッチリ。欲をいえば、もう少し醤油の主張が控えめであると、素材の味を堪能できていい気もするが、108円のクオリティだと思えば十分ではないだろうか。正月に家族や友人と味見してみて、意見を言い合っても盛り上がりそうな一品だ。
プラス1080円で超豪華なおせちが完成! 108円とは思えない味わいの食材も
さて今回は、あわびのほかに計10種、1080円分の食材を購入してみた。これらを組み合わせてどんなおせちができるのか、検証してみよう。
“100円おせち”からは全40種類のおせちの定番食材・料理がラインナップされているが、今回そのなかからピックアップしたのは『つぶつぶ栗きんとん』『えび甘露煮』『栗風味伊達巻』『一口鰊昆布巻』『味付け数の子』『魚卵のうま煮』『黒豆』『たけのこ煮』『御蒲鉾 赤坂』『御蒲鉾 白坂』の10点。
これらを組み合わせて完成したおせちがこちら。2つの『味付けあわび』と1080円分の食材・料理、計11種で二段の重箱を埋め尽くすことができた。見た目に関していえば、おせち特有の豪勢さも十分に感じられる仕上がりだが、その味はいかほどだろうか。
まずは、今年からラインナップに加わったという『栗風味伊達巻』からいただこう。こちらは、栗ペーストを練り込んだという珍しい伊達巻だ。一口かじると、卵のまろやかさとふんわりとした甘みが口いっぱいに広がる。スイーツのような感覚で楽しめる本品は、醤油ベースの味付けの食材が多いおせちのなかで、箸休め的な存在にもなるかも。
手作りだと手間がかかり、出来合いを買おうとすると高くついてしまう「栗きんとん」も、108円でゲットできるのが嬉しいところだ。『つぶつぶ栗きんとん』はさつまいも餡につぶつぶの栗を合わせた一品。箸ですくって食べてみると、栗とさつまいもの豊かな風味がしっかりと感じられる点に驚いた。また、ホクッとした栗の食感が立っているので、ありがちな、もったりした重たさが感じられなかったのも良かったポイントだ。
えびの煮付けも108円でゲットできてしまう。川えびの風味を生かして甘露煮にしたという『えび甘露煮』は、内容量17gと少量ではあるが、おせちに加えるだけで高見え効果がある。食べてみると食感はパリパリだが、ヒゲや脚が刺さるほどではなく、食べやすい。
また説明にあった通り、本当にえびの風味が生かされていて、とても108円とは思えない仕上がりだった。甘さの加減もほどよく、個人的には今回選出した食材のなかでもトップクラスのクオリティではないかと思った。
ちなみに、半額の648円でもおせちを作ってみた。こちらでも、おせちのワクワク感は十分に味わえるため、単身世帯の方や二人暮らしの方などは500〜600円分を購入するだけでも十分ではないかと思う。
総評すると、ローソンストア100の“100円おせち”は安かろう悪かろうのイメージを払拭する便利なシリーズだといっていいだろう。まず、優れていると感じたのが、自分の食べたい食材を一品ずつ選べるという点。食材を組み合わせて自己流のおせちを作るのはもちろん、手作りするには難しい食材のみをピンポイントで買うこともできる。スーパーで同様に具材を選ぶことはできるが、“100円おせち”という選択肢のコストパフォーマンスは圧倒的だ。
そして、肝心の味のクオリティも及第点以上。今回の目玉である『味付けあわび』に関しても、108円だと思えば十分な完成度だったと思う。また、そのほかの食材も本当に美味しく、なかには108円以上の価値に感じられた商品も少なくなかった。
気になった方は、一品からでも気軽にこの“100円おせち”シリーズを利用してみてはいかがだろうか。
(取材・文=泥沼蛙/A4studio)