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ビューティエディター平輝乃「美容の現場からお伝えします!」

メンズ・メイクアップ本格的普及…化粧したい男、化粧したくない女に対する“令和時代の答え”

文=平輝乃/ビューティエディター
メンズ・メイクアップ本格的普及…化粧したい男、化粧したくない女に対する“令和時代の答え”の画像1かさかさの肌や唇は男性といえどももはやNG。リップクリームはもちろん、ファンデーションとアイブロウはグルーミングの一環となりつつあるのを感じる。ⒸCHANEL

 男性用のメイクアップ製品が本格的な広がりを見せている。もちろん過去にも大手メーカーが仕掛けてはいたが、ほんの10年前はスキンケアですら男女ともに抵抗感がある人が多く、ましてメイクをや、という時代だったのに、だ。男性用のメイクアップは今、ようやく黎明期を迎えたばかり。けしてイロモノ的な扱いではなくなってきている。

 その先駆者となったのが株式会社ACROが提案するFIVEISM × THREE(ファイブイズム バイ スリー)だ。「男性のメイクアップ、いよいよ来るな」と感じていたところに、ついにあのシャネルからもメンズのメイクアップが誕生。シャネルはその創始者であるガブリエル・シャネル本人が時代の“流れ”や“変わり目”を読むのに長け、男性のものとされてきたツイードやジャージーなどの素材をいち早く女性ファッションに取り入れ、性別を超えて「自分らしさ」をつくり上げてきた人物。そんなシャネルからメンズメイクアップが登場したということは、まさに今がその時だということ。今後、この流れがどんどん加速していくのは間違いないと見ている。

 いずれも男性モデルたちが違和感なく美しくつけこなしているのを見るにつけ、ミレニアル世代にとってこれは当たり前のことなのだな、と強く感じた。化粧品会社にとって今後、年間数十億円が見込めると予想されている男性向け化粧品の市場でいち早くパイを取ることは戦略的にとても重要なことだろう。女性向け化粧品の需要が頭打ちのなか、LGBTQを含め男性へと市場を拡大していくことが未来の顧客獲得への足がかりとなるはずだから。

「FIVEISMは男性も手に取りやすいように工夫をしていますが、使う人を男性に限定しているわけではありません」とFIVEISM × THREEコミュニケーション担当、小野貴代さんは言う。確かに今、美容やファッションの世界ではこのようなジェンダーフリュイド(性の流動性)の気運が高まっている。ジェンダーフリーと性差をなくすのでもなく、ユニセックスとひとつにまとめることでもなく、1人の人間の中に割合こそ違えど男の要素も女の要素もあるのが当然とする考え。ジェンダーはもっと流動的でいいという考えだ。

「シャネルは、ブランド創始者のガブリエルの時代から、さまざまなクリエイションで、女性たちに生き方の自由、在り方の自由をもたらしてきました。現代、女性たちはずいぶんと自由になったのではないでしょうか。思いのままに生きる、というのは、もはや女性の特権なのかもしれません。反して、男性はいまだ既成の“男らしさ”に縛られているように思えます。女性の習慣(メイクを難しく考えない、服を着るような感覚)と同様、男性も大人になったらグルーミングをする、といった習慣が根づいてきた中で、メイクアップにだけ境界線がありましたが、それを越える時期に来ているのが今なのではないでしょうか」(シャネル PR 三石裕季さん)

平輝乃/ビューティエディター

平輝乃/ビューティエディター

VOCE創刊号からライターとして参加、美容エディター歴20年長のベテラン。美しいビジュアルで魅せる誌面作りを得意とする一方、関西出身の強みを生かし、たユニークな美容読み物ページの構成力にも定評あり

Instagram:@veronicark0428

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