鼻水止めや咳止めも…薬服用後の車運転で死亡事故多発、「運転禁止薬」はこんなに多い
その行為の一つが「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」なのです。この薬物にはもちろん運転禁止薬が含まれます。薬を飲んで眠気やふらつきが起こってしまい、相手を事故で死亡させてしまったらこの法律が適用されます。この取り決めはあまり知られていませんが、私たち薬剤師は説明文書を渡して指導しています。市販薬の場合は添付文書に必ず記載されています。
市販の運転禁止薬
うっかり運転禁止薬に該当する市販薬を買わないようにするためには、薬剤師や登録販売者などの有資格者に「日常的に運転しています」と申し出たほうが手っ取り早いです。覚えておくとよいのが、鼻水止め、咳止め、鎮静薬の3つです。これらのすべてが運転禁止薬というわけではありません。CMでおなじみの「アレグラ」「クラリチン」は運転できます。「アレジオン」は「運転注意薬」に該当し、眠気が出ないわけではないので注意して運転してください。
総合感冒薬には鼻水止めと咳止めは必ずといっていいほど含まれていますし、頭痛薬には鎮静薬が含まれていることが多いです。風邪の時は運転をせず大人しく寝ることが多いでしょうが、頭痛の時は、ちょっと痛みが治まればうっかり運転をしてしまうかもしれません。頭痛薬を買う時は、鎮静薬が含まれていないものを選んでください。箱に「アリルイソプロピルアセチル尿素」と書いてあるものは鎮静薬なので、それ以外を買うようにしてください。
また、総合感冒薬に含まれる鼻水止めや咳止めはほぼすべて運転禁止薬です。鼻水止めを配合せず、咳止めを漢方にした「パブロン50」という薬がありますが、これは運転ができます。鼻水が気になる症状の時は小青竜湯に鼻スプレーを組み合わせて使うといいです。
「眠気が出にくい」と箱に書いてあっても、「これは運転ができる」と思わないようにしてください。眠気覚まし効果がある「無水カフェイン」を配合させることで、結果的に眠気が出にくくさせます。この成分は頭をすっきりさせる効果もあるので、解熱鎮痛薬と合わせて取ると頭痛でつらかった症状がすっきりします。あくまでも添付文書に書いてあることが根拠となります。薬を飲んで眠気が出たことがないから大丈夫というわけではありません。眠気を感じないレベルで判断に狂いが出ることがあり、これが事故のもとになります。
ビジネスパーソンは運転をする機会が多いのでうっかり運転禁止薬を飲まないように注意が必要です。知らなかった、聞いていなかった、ではすまされません。
(文=小谷寿美子/薬剤師)