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加齢臭、病気の可能性…糖尿病、動脈硬化、肝臓病の危険ゆえ病院での診断お勧め

文=吉澤恵理/薬剤師
加齢臭、病気の可能性…糖尿病、動脈硬化、肝臓病の危険ゆえ病院での診断お勧めの画像1「Thinkstock」より

 最近は、男性も匂いのケアに気を配るようになっています。確かに、体臭で周りの人に不快な思いをさせては、人間関係にヒビが入ってしまいますので気をつけたいところです。ところで、体臭は年齢とともに強くなる傾向があり、それは「加齢臭」と呼ばれます。

 加齢臭は歳を重ねると必ず出てくるものと開き直るべきではありません。実は、病気のサインかもしれないのです。東京ネクスト内科・透析クリニック院長の陣内彦博氏は、「加齢臭が強い人は、中性脂肪値やコレステロール値が高い傾向にあり、糖尿病や動脈硬化、肝臓病など生活習慣病に対しての危険リスクも高いといえます」と指摘しており、加齢臭と生活習慣病の関連は否定できないようです。

加齢臭の正体

 加齢臭の正体は、「ノネナール」という物質です。ノネナールは、皮脂腺から出る脂肪酸が酸化することによって生じる物質です。加齢とともに体の中で起こる酸化を抑える力が弱くなり、40歳を過ぎた頃から皮脂の分泌量が増加するとノネナールも多く生じるため、加齢臭と呼ばれるようになりました。一般的に、若い世代では生じにくいといわれているノネナールですが、20~30代でも体内で増加することがあります。

 加齢臭が強い場合、生活習慣病が隠れている可能性があります。言い換えれば、生活習慣病により体臭や加齢臭が強くなることがあるのです。内臓脂肪が増えるとメタボリックシンドロームとなり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、心疾患、脳血管障害、高尿酸血症、腎臓病などの生活習慣病を引き起こしやすくなります。血糖値、コレステロール値や中性脂肪値などが高くなると体の脂肪も多くなるため、ノネナールも増加し加齢臭が強くなります。つまり、生活習慣病とノネナールには関連があるといえ、加齢臭が強い場合は生活習慣病または生活習慣病予備軍である可能性が高いのです。40代以上はもちろん、20~30代でも加齢臭がある場合には健康診断を受けることをお勧めします。

酸化の原因は活性酸素

 加齢臭、生活習慣病などを含む「老化」の大きな原因のひとつは、活性酸素による酸化です。活性酸素は、適度な量であればその強い酸化力によって殺菌作用を示し、体内に入り込んだ細菌などを抑えます。また、酵素の働きを促進するなどの効果があり、健康維持の一翼を担っています。しかし、活性酸素が過剰に増えると、体にダメージを与える存在となります。脂肪酸を酸化し、ノネナールを生じさせる原因も活性酸素です。そればかりではなく、過剰になった活性酸素は細胞膜の脂質も酸化します。細胞膜の脂質が活性酸素によって酸化すると、細胞が栄養と老廃物の交換をうまくできなくなり、変異して細胞が衰え、病気を招く原因となります。

 体内の活性酸素は、強いストレスや紫外線、運動不足や乱れた食生活などで増えていきます。活性酸素を増やさないためには、規則正しい生活習慣と適度な運動が必要です。また、ポリフェノールやビタミンCなど抗酸化作用がある成分を含む食べ物を積極的に摂取することを心掛けるといいでしょう。生活習慣病と加齢臭の予防を兼ねて、活性酸素を増やさない努力をしたいものです。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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