日本人は世界でもっとも睡眠満足度が低いといわれています。
世界最大の家具量販「IKEA」の日本法人イケア・ジャパンが2013年に世界主要都市で睡眠満足度を調査したところ、「東京」が満足度最下位で、2人に1人が睡眠に不満を持っているという調査結果でした(イケア・ジャパン株式会社調べ)。
筆者は今まで数多くのビジネスパーソンの睡眠改善をサポートしてきましたが、本当にみなさん、睡眠に困っていらっしゃいます。朝起きても疲れが取れていない、朝スッキリ起きられない、日中強い眠気があるなど、さまざまな不満が出てくるのですが、それらは夜、なかなか寝られないことに起因するケースが多いです。
もちろん、SNSやゲームなどがつい長引いてしまうことも夜寝付けなくなる原因ですが、そもそもの理由として、夜に悩んでしまって不安から寝られなくなることが主原因だったりします。そのため、YouTubeなどを見て気をそらしているのです。
とはいえ、夜に悩むのは人間として生まれてきた以上、仕方のないことだと思いますよね。ところが実は、海外の人は日本人ほど夜に悩まないそうなのです。
その原因のひとつが、“不安遺伝子”を持っている比率です。
なんと、日本人は不安な気持ちを抱きやすい特性のある不安遺伝子(S型セロトニントランスポーター遺伝子)の保有率が約80%と、世界で一番多い民族なのです。
この遺伝子を持っていると不安な気持ちになりやすく、心配で保険に入りやすいとか、夜に悩みやすいなどの傾向があるといわれています。不安遺伝子の保有率はアフリカ人系がもっとも少なく、欧米系が中間でアジア系が高いことがわかっています。そのなかでも、日本人がもっとも高い保有率というわけなのです。
ですから、日本人は夜悩むことを前提として、快眠対策を立てる必要があります。もちろん、気分転換にSNSやゲームもいいですが、寝る前にしてしまうと睡眠の質を下げてしまいます。
寝る前に不安を消す習慣は多々あります。最近はやっているのは、ジャーリング(「書く瞑想」とも呼ばれています)と言って、頭の中で考えていることを紙に書き出す手法です。また、北京オリンピックでは、カーリングの日本代表が、ホテルで寝る前にティッシュにアロマを垂らすなど、いくつも科学的にも証明されている手法があります。
補足になりますが、快眠になりにくい不安遺伝子にも、メリットはかなりあります。たとえば、不安の半面、事前準備を怠らないので失敗が少なく、あらゆるケースを想定して対策するので、確実性が求められる仕事に対しては圧倒的なアドバンテージになります。
最新の睡眠手法に関しては、筆者の近著『働くあなたの快眠地図』に詳しく書かせていただきました。ぜひ、あなたにぴったりで睡眠の質を上げる夜の習慣を見つけてください。
(文=角谷リョウ/パフォーマンスコーチ)