我々の生活を支えるコンビニチェーン店にはペットボトルの緑茶が豊富に揃っている。そんななかでも根強い人気があるのが、各社が出しているプライベートブランド(PB)の緑茶。有名飲料メーカーの製品より低価格でありながら、近年はそれらにも負けない品質になっているとしてネット上で評判を呼んでいる。
そこで今回はセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンのPBペットボトル緑茶を実際に購入して試飲し、そのコストパフォーマンスが一番高いのはどれか、忖度なしで比較を行った。
本記事の最後には、独断ながら“コンビニPB緑茶ベスト1”を選出しているので、お買い物時の参考にしてもらえれば幸いだ。
セブン「7P 一(はじめ)緑茶静岡茶入り 600ml」/108円(税込、以下同)
最初に紹介をするのは、業界シェア1位のセブンのPB緑茶だ。
本品はセブンのPBである「セブンプレミアム」に属する商品で、PBブランドには珍しく「一(はじめ)」という固有の商品名を冠している。さらに、“緑茶八女茶入り”や“緑茶宇治茶入り”などと、販売地域別に味わいが異なるのも特徴。今回は、関東地域などで発売されている“緑茶静岡茶入り”をチョイスした。
容量は600mlと、一人用サイズとして一般的な500mlよりも少し大きめ。パッケージは白を基調とした小ぶりなラベルで、全体的に清涼感のあるデザインだ。値段は108円と安めだが、国産の静岡茶葉95%と東日本産の緑茶葉をブレンドしているなど、その製法にはこだわりが詰まっていそうだ。果たしてどんな味なのか、さっそく封を開けてグラスに注いでみた。
お茶の色は緑というより、どちらかというと黄金色。香りを確かめるべくグラスに鼻を近づけてみたが、かすかに甘い香りがしたものの、緑茶の豊かな香りが広がるといった感動はなかった。
だが一口飲んでみると、一転して口の中に香ばしさが広がる。喉越しにほんの少し渋みと苦味があるが決して嫌なものではなく、むしろ後味をかなりスッキリさせてくれる爽やかさに満ちていた。一方で、香りに含まれていた“甘み”は、舌ではあまり感じられなかった。飲む前の印象と飲んだ後の味にギャップがある一品といえるだろう。
ファミマ「にごりの旨み 緑茶 600ml」/108円
次に紹介するのは、業界シェアで第2位のファミマのPB緑茶だ。
ファミマは、統一したパッケージデザインでPBのお茶をいくつか展開している。麦茶やジャスミン茶といった定番種類に加え、台湾烏龍茶や沖縄限定のさんぴん茶、さらには紅茶ブランド「Afternoon Tea」が監修したアールグレイティーなど、バラエティー豊かなラインナップも魅力となっている。
そんなシリーズの本品は、PBブランドらしく600mlというたっぷりサイズに、容器全体を覆うシックで和風な雰囲気のラベルが特徴的だ。また、品種は記されていなかったが、国産の一番茶葉を10%使用しているとのこと。気になったのは製造元が有名お茶ブランドとして知られる「伊藤園」という部分。PB商品でありながら共同開発商品でもあるようだ。
グラスに注いでみると、その色合いは緑色が美しく、半透明のにごり茶仕様となっていた。鼻を近づけると、どこか抹茶を思わせる甘みとコク、芳醇な緑茶の香りがふわっと感じられた。
口当たりは少しとろりとしており、渋みはほぼなし。香りに感じたとおり、甘味とコクが強く、まったりとしたうまみが舌に広がった。一方で、飲み込んだ後に鼻に抜ける香ばしさは少し弱め。優しい喉越しで飲みやすいが、“すっきり爽やか”というより“濃厚な一杯”という感じの緑茶だった。
ローソン「緑茶 600ml」/100円
最後は、コンビニ業界でシェア第3位のローソンが打ち出しているPBの緑茶をチェックしていこう。
2020年から始まったローソンPBのデザイン&ラインナップ刷新戦略で生まれた本品は、その名前も非常にシンプル。どんな部分が魅力なのか、どんな茶葉を使っているのかといった指標となる情報はほぼ書かれておらず、飲む前からどこかミステリアスな雰囲気すら感じさせる。
ベージュのカラーリングとポップでかわいらしいラベルは、他のローソンのPB商品のデザインと共通している。ラベルの裏を見ると、製造元に再び「伊藤園」の文字がある。どうやらローソンも同社と商品を共同開発しているようだ。
容量は600mlとたっぷりだが100円と、その安さは頭一つ抜けている。グラスに注ぐと、その色合いはほのかな黄金色。香りを確かめてみたところ、微かに香ばしさはあるものの、際立ったものは感じなかった。
飲んでみると、甘味がありながらもすっきりとしており、舌に渋みの余韻がかすかに残った。だが、全体的な印象としては、渋味や香り、コクといった、緑茶を構成する各種要素が弱いように思える。非常に飲みやすいが、これといった印象には残りづらい、そんな一杯といえるだろうか。
総評…1位は「ファミマ」
ここからは、今回の飲み比べの総評を行っていこう。
コストの面では、税込で100円という低価格を実現したローソンの「緑茶 600ml」が優勢。だが安い分、ほかの2社に比べると、どうしても味の個性の弱さが目立ってしまった感は否めない。
セブンの「7P 一(はじめ)緑茶静岡茶入り 600ml」に関しては、明確に“切れ味の良い緑茶をつくろう”という意思が感じられ、実際、コンセプトどおりの味に仕上がっている。ただ、後味にけっこう強めの渋さが残るうえ、飲み進めていくとその渋さがじんわりと蓄積されていくので、緑茶の渋さが苦手な人や子供には少々受けが悪そうだ。
そして、ファミマの「にごりの旨み 緑茶 600ml」だが、これは先述のとおり、まろやかで濃厚な甘みが特徴の一杯で、今回検証した3品のなかでは一番記憶に残る味だった。また、封を切ったときに辺りに広がる香りは緑茶の大きな魅力のひとつだが、本品の“香りの強さ”は他社製品と一線を画しており、その良さがしっかりと感じられた。これらの点も踏まえて、今回はファミマに軍配を上げたい。
今回はファミマを1位に挙げたが、夏の暑い季節であればまた印象も変わってくるだろうし、一緒に食べる食事によっても変わるだろう。この記事を参考に、自分にぴったり合う緑茶を見つけていただければ幸いである。