デリバリーでピザを頼む際に、大半の人が大手チェーン店の「ピザーラ」「ドミノ・ピザ」「ピザハット」を候補に挙げるだろう。ただ、意外と各チェーンの特徴や違いまではわからず、どこを選んでも一緒だと考えている人も多いのではないだろうか。
そこで今回はピザの定番「マルゲリータ(Mサイズ)」で、ピザーラ、ドミノ・ピザ、ピザハットの3社を徹底比較。実食して味のクオリティ、サイズ、値段を忖度ナシで比べていく。
シンプルなメニューだからこそ、一枚一枚に特徴が出やすい「マルゲリータ」。トマトとモッツァレラ、バジルの三色が華やかな王道ピザメニューは、チェーン店ごとにどれほどの違いがあるのだろうか。
独断ではあるが、最後の総評で1位のマルゲリータを決定しているので、ぜひピザをデリバリーする際の参考にしてほしい。
「ピザーラ」マルゲリータ Mサイズ/25.4㎝/ハンドトス 2140円(税込、以下同)
まずは、最大手であるピザーラのマルゲリータからレポートしていこう。
フレッシュトマトやモッツァレラチーズと共に、フレッシュバジルが焼き上げられた香ばしいマルゲリータ。フレッシュバジルを焼き上げることで風味が豊かに引き出されている。そしてEVオリーブオイルが別添で付いているのは3社のなかでピザーラのみ。
生地はモチモチで耳まで柔らかいタイプ。一口食べると、トマトソースとモッツァレラチーズの焼き上がったジューシーな味わいと、刻まれたオニオンのフレッシュさも加わり、歯切れが良い。
トマトソースやモッツァレラチーズの中にフレッシュバジルが1枚織り込まれているが、一緒に焼き上げられたことでさわやかな香りが引き立ち、存在感がある。ジューシーで重量感があり、おなかにたまりそう。ジャンキーなピザが好きな人にはたまらないアメリカンな味わいともいえる。お好みでEVオリーブオイルをかけると、噛みしめたときの濃厚さが増して美味である。
ただし、値段は3社のなかでもっとも高く、サイズは大きめだが他チェーンのものと比べると微差。そのためコストパフォーマンスの面で考えると、お得とはいいがたかった。
「ドミノ・ピザ」マルゲリータ Mサイズ/23cm/ハンドトス 1980円
次は、業界シェア第2位のドミノ・ピザが誇るマルゲリータを実食していこう。
チェリートマトやバジル、イタリア産ボッコンチーニが円を描くようにきれいに配置されているが、3社のうちもっとも小さいサイズなので、蓋を開けたときのインパクトはやや弱かった。
食べてみた第一印象は、材料のバランス、配合が良いということ。トマトソースやチーズのどちらかに偏ることなく、どこを食べても均一な味わい。また、チェリートマトやバジルがソース状ではなく個体なのでフレッシュさが保たれており、新鮮な食感と味わいを楽しめた。
生地はふわふわで小麦粉の香りが立ち、個々の材料がごちゃごちゃしていないため、嚙み切りやすさもあった。また、耳部分の堺がはっきりしており、生地をしっかり味わいたい人には嬉しいポイントだろう。良い意味で調理パンを食べているようなお手軽さを感じ、もしランチで食べるなら3社のなかではもっとも食べやすそうだと感じた。
値段は、微差ではあるが3社のなかではもっとも安い。リーズナブルだからといって品質が落ちるわけではないので、コスパは悪くないだろう。
「ピザハット」マルゲリータ/Mサイズ/26cm 1990円
最後は、業界シェア第3位のピザハットのマルゲリータを実食する。
見た目は、トマトの赤色やバジルソースの緑色が鮮明で、個々の材料が色濃く感じる。サイズは26cmと3社のなかでもっとも大きく、生地は耳まで膨らんでいて焼き目もあるため、よりボリューミーな印象だ。
一口食べると、たっぷり乗ったチーズのまろやかさとトマトソースのほのかな甘さを味わえる。見た目の鮮やかさどおり味も濃く、食べ応えがあった。それでいて、3社のなかでは癖のないシンプルな味わいで、本場イタリアのマルゲリータに一番近いのではと感じさせるクオリティである。
ただし、食材のフレッシュさやバジルのさわやかさを求める人にとっては、具材がすべてソース状のため、ややマイルドすぎる気もする。注文した商品がたまたまそうだっただけかもしれないが、バジルソースが1カ所に集まっている部分があり、香りはフレッシュバジルより控えめのため、そこをマイナスと捉える人もいるだろう。生地は見た目のとおりふわふわしており、軽い食感。ベースとなる生地がさっぱりしていることで、チーズやトマトの味わいを楽しみやすかった。
値段は、最安値のドミノ・ピザとほぼ同じ価格で、サイズはもっとも大きいため、お得感がある。コスパで考えると一番高いといえるだろう。
総評…1位はピザハット
ここからは今回の食べ比べの総評をしていきたい。
コストパフォーマンスの面では、もっとも大きいサイズの26㎝でありながら価格は2000円を切るピザハットのポイントが高かった。また、チーズやトマトがたっぷり乗せられており、満足度も上々。
バジルやトマトがソース状であるなど食感に変化がなくマイルドだが、ソースがチーズのとろけ具合やトマトの甘みと絶妙に調和していた。コスパが良く、好き嫌いが分かれにくいピザを選ぶとしたら、シンプルながら本場の味に近いと感じるピザハットがいいだろう。
ピザハットに比べて他2社は、定番商品にしてはそれぞれ良くも悪くも個性が見受けられた。
ドミノ・ピザは美味だったが、ランチにもっとも向いていそうと評したとおり、ピザらしいジャンクな食べ心地に欠けた。パンの生地やフレッシュバジルは本格的だったが、マルゲリータ本来のトマトとチーズの存在感が他社より抑えられていた印象だ。
ピザーラは、もっとも高い2140円という価格にふさわしい具材の多さで満足度は高い。しかし、トマトの酸味やフレッシュバジルのさわやかさなど、マルゲリータならではの特徴があまり感じられず、本場イタリアのマルゲリータというより“日本のピザ”というニュアンスが強く出ていた。極論、マルゲリータではない別メニューのように感じられたほどである。
最終的にマルゲリータとしての味のクオリティ、サイズ、値段で総合的にポイントが高かったピザハットが優勝だろう。
ただ、ピザーラやドミノ・ピザのマルゲリータも充分おいしく、それぞれのチェーン店の個性やこだわりを感じられた。マルゲリータの比較という観点でいうとピザハットに軍配が上がったが、ピザーラやドミノ・ピザが一番好きだという方も多いはずだ。自分のなかでNO.1を決めたいという人は、ぜひご自身でも3チェーンのマルゲリータを食べ比べてみてほしい。
(文=A4studio)