2013年の矢口真里をはじめ、今年もベッキー、桂文枝、ファンキー加藤、三遊亭円楽と、芸能人の不倫スキャンダルが止まらない。芸能活動が窮地に追い込まれる様子を目にしていると、「芸能人は不倫下手だ」と思わざるを得ない。なぜなら、どれもこれも「失敗する不倫」を地で行っているからだ。
もちろん、不倫は決して許される行為ではないが、結婚後3年で始めて以来20年、妻にバレずに不倫を続けている“ベテラン”のライター・稲垣浩生氏が、以上5名の不倫騒動について「失敗した原因」を解説する。
ベッキー…不倫男の「別れて結婚する」は信用ゼロ!
川谷絵音(ゲスの極み乙女。)と恋に落ちた時点では、彼に妻がいることは知らなかったというベッキー。それが本当なら同情を禁じ得ないが、問題はその後だ。「週刊文春」(文藝春秋)では、2人が離婚届のことを「卒論」と呼び、川谷がベッキーに「ちゃんと卒論書くから待ってて欲しい」と呼びかけるLINEのやりとりも報じられた。
「『妻と別れて君と一緒になる』という文句は、たいていの不倫男が口にするが、これは男性にとって禁句で、女性にとっても『信じてはいけない一言』です。なぜなら、付き合い始めの数カ月~半年は、禁断の恋に溺れて冷静な判断ができない状況だから。男は相手をつなぎ留めておきたい一心で口から出まかせを言うし、女もそれを信じてドロ沼に陥る。どの不倫も、これが一番の失敗パターンです」(稲垣氏)
本当にその気があれば、すぐにでも行動に移すはずだが、いつまでたっても奥さんと別れる様子がない。それは、男にとって女性が単なる浮気相手でしかないからだが、心にもない嘘がボヤを大火事にしてしまうという。
「不倫において、相手に期待を持たせては絶対にダメ。むしろ『カミさんとは仲良しだ』と言ってもついてくる女性であれば、ゴタゴタすることなく長く付き合える可能性があります」(同)
「いや、そんなの金がないと無理だ」と感じるかもしれないが、稲垣氏はこう続ける。
「『金の切れ目が縁の切れ目』と言われる通り、金銭的な付き合いはあっけなく終わります。家は借家、クルマは10年乗っている中古車、スーツも数着しか持っていない私ですが、不倫している彼女に言わせると『常にポジティブ&アクティブで、人の悪口や愚痴を言わないところがいい』そうです」
不倫に「財力や外見は無関係」だそうだ。
矢口真里&ファンキー加藤…「パートナーへの礼儀を忘れるな」
「浮気相手を自宅に招き、寝室で一戦交えた」と報道された矢口と「不倫相手を妊娠させた」ファンキー加藤について、稲垣氏は一刀両断する。
「いずれも問題外です。というのも、不倫とは後ろめたい行為であり、その後ろめたさを自覚していないと、必ず失敗します。夫と住む自宅で一戦交えるなど、パートナーに対して失礼極まりないですし、妊娠させるのも同じ。いずれも、後ろめたさを持たずに一時の快楽に溺れた結果といえるでしょう。
もちろん、不倫自体が失礼極まりない行為ですが、非難を承知で極論を言えば、『夫や妻にバレなければいい』んです。バレずに付き合って、普段は相手を大切にする。それぐらいの気持ちがなければダメですね」(同)
ちなみに、ファンキー加藤が溺れたダブル不倫は「妊娠さえさせなければ、理想的な不倫」だという。
「こちらが妻帯者で不倫相手が独身となると、相手はこちらが離婚して結婚という夢を見ます。一方、どちらも家庭がある場合、お互いに家庭を壊そうとは思いません。『同じ土俵上での不倫』となるため、お互いのパートナーに見つからない限り、トラブルにはなりにくいのです」(同)
桂文枝…「写真や動画は撮影するな」
20年来の愛人だった紫艶に、数々の証拠写真を暴露された文枝。騒動の影響から「人間国宝の認定がオジャンになった」と言われるほどの火遊びとなった。
「文枝師匠の不倫は、一緒に遊びを楽しむなど、単なるセフレではなかった点で理想的でした。私見ですが、相手を愛する気持ちがなければ、不倫って面白くないんです。
しかし、写真や動画など、証拠になるものは撮ったらダメ。その時は愛し合っていても『可愛さ余って憎さ百倍』になるのが恋愛であり、いわゆるリベンジポルノの被害を受けるようなものは残すべきではありません。
特に、既婚者との不倫は注意すべきで、メールもいつ相手のパートナーに見つかるかわかりません。夫婦共用のパソコンはもちろん、携帯メールも避けるべきでしょう。できればパスワードつきのメールでやりとりするべきで、間違っても『愛してる』などの文言は書くべきではない。流出のしやすさから、LINEも同じです。
私の知り合いは、『この前はすごくよかった』などと書いたメールを見られたことで探偵を雇われ、慰謝料として200万円支払うはめになりました。
もうひとつ怖いのは、パートナーとの“夫婦生活”の際に、間違えて不倫相手の名前を叫んでしまうこと。それだけは注意するよう、相手にも言っておくべきです」(同)
三遊亭円楽…「共通コミュニティは避けるべし」
不倫相手と錦糸町のラブホテルにチェックインした姿を「フライデー」(講談社)に撮られた円楽の場合は、『笑点』(日本テレビ系)のネタにでもされかねない騒動となった。
「会見では『さすが噺家』と思わせてくれたけど、有名人なのだからラブホはダメ。過去にも巨人(当時)の二岡智宏選手が山本モナと五反田のラブホに泊まった騒動がありましたが、その時は世界の王(貞治)さんも『ラブホはダメだろ』とコメントしていました。まぁ、大師匠が4500円のラブホというのも、ネタとしては最高に面白いですけどね。
あと、円楽師匠はゴルフ仲間の女性が相手でしたが、このパターンは共通のコミュニティがあるため、避けるべきです。なぜなら、社内不倫と同じで『2人を見る第三者の眼』が存在するため、噂になりやすいからです」(同)
リアルの場での共通コミュニティがないという点で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で相手を見つける不倫は理想的だそうだ。
円楽の場合、妻とは「互いに干渉しない関係」だったそうだが、これも不倫には最高の夫婦関係だという。「(会見に臨む夫を)『がんばれ』と励ますとは、さすがは芸人の妻。こうした夫婦関係を保つことで、理想の不倫ができるようになります」と稲垣氏は語る。
そもそも不倫とはパートナーを裏切る行為のため許されるものではなく、今の時代にこんな意見は賛同されにくいだろう。しかし、芸能人の不倫騒動からは、こんな教訓を得ることもできるのである。
(文=後藤豊/フリーライター)