出来立てをパクッと一口放り込めば、もっちりとした皮の食感と、中に詰まった肉と野菜のジューシーなうまみが溢れ出す――。“餃子”といえば中華料理の大人気メニューだが、近年はコンビニ業界でも冷凍食品などが販売されており、各社がしのぎを削っている。レンジで温めるだけで、すぐに食べられるという手軽さもウケているのだ。
そこで今回はセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンの“冷凍餃子”を実食比較。お財布にも優しく美味しいコンビニ冷凍餃子を、忖度なしで解説させていただいた。
本記事の総評パートでは、“コスパ抜群のコンビニ冷凍餃子No.1”も決めているので、ぜひそちらも参考にしてみてほしい。
セブン「レンジで焼き餃子 5個入」/149円(税込、以下同)
まずは、その店舗数でコンビニ業界のトップを走るセブンの冷凍餃子から見ていこう。
セブンで販売されている「レンジで焼き餃子 5個入」は、国産の豚肉、キャベツ、玉ねぎ、ニラ、ニンニクといった定番の具材に加え、餃子では珍しい鶏肉も使用しているのが特徴的。タレは付いていないが、しっかりと味がついているので、そのままでも美味しくいただけるという。
調理は実に簡単。袋を開けず、凍ったままの本品を500wのレンジで約1分40秒加熱するだけ。あっという間にアツアツの餃子が出来上がるのだ。ちなみに、個数は5個入りとなっている。
出来上がりの見た目だが、全体的に皮の分量が多めで、一般的な焼き餃子のサイズよりほんの少し大きな印象。皮のタイプは薄皮で、焼き目はきつね色に程よく色づいていた。加熱したてのパッケージを開けると、辺りにはごま油の香りがふわっと広がった。
一口食べてみると、皮の食感はツルツル系。噛み締めるとキャベツ、玉ねぎ、ニラ、ニンニクら野菜のつゆが染み出してきて実にジューシー。肉のうまみも感じられるのだが、鶏肉が入っているおかげかさっぱりとしていて、主役は野菜というバランス感に一役買っていた。胡椒が効いたピリッとした刺激も印象的。だが肉が脇役に回っているためか、少々食べ応えが希薄なのが気になった。
ファミマ「野菜の旨み味わう焼餃子」/160円
次は、業界シェア第2位のファミマが提供している冷凍餃子を紹介していこう。
本品は、その名のとおり“野菜のうまみを味わう”ことをメインにつくられた餃子のようで、具材は主に豚肉、白菜、キャベツ、ニラとなっている。公式サイトには「飽きのこない味わい」という一文も添えられていたが、まさに王道の餃子の具材といった印象だ。
調理方法は凍ったままの本品を、パッケージを開けずに500wのレンジで約1分50秒加熱するだけ。ちなみに、オート機能で加熱してしまうと中身が硬くなってしまう危険があるとのことなので、表記通りに調理しよう。
電子レンジで温め終わり封を破ると、小ぶりな焼き餃子が5個顔を出した。このとき強めのニラの香りがパッと広がり、食欲が刺激される。香りで期待が高まる一方、個人的にはその焼き目に少々残念さを覚えてしまった。というのも、食欲をそそる焼き餃子か否かを左右するポイントでもある焼き目が、ほんの少ししかついていなかったのだ。
続いて、気になる味をレポートしていこう。まず皮だが、モチモチ感は弱めの極薄皮タイプ。続いて餡の部分はというと、パッケージのとおり、肉より白菜やキャベツの味が全面に出ていた。またニラの主張がけっこう強めなのでおのずと味のパンチも強め。だが、ジューシー感が少ないのと、中の餡がスカスカに感じてしまうほど少ないのが気になった。とはいえ、さっぱりと食べられる餃子なので、重たい味付けが嫌という人にはおすすめだろう。
ローソン「ジューシー焼餃子」/149円
最後は、業界シェア第3位のローソンの冷凍餃子を検証していこう。
「国産の豚肉とキャベツを使用したジューシーで旨味のある味付け」という本品。具材となる肉は豚肉のみだが、豚脂も使用しているとのことで、コクには期待ができそうだ。野菜はキャベツ、玉ねぎ、しょうが、ニラとなっている。また、調味料にオイスターソースやほたてエキスが入っているようで、なかなか本格的な味付けとなっている様子。
調理方法は凍ったままの本品を袋から取り出し、ラップをせずにトレイごと500wのレンジで約1分40秒加熱すれば完成だ。袋を開け取り出してから温めるいう行程が他のチェーン店と異なったが、このあたりの違いが味にどう影響してくるのか、期待が高まる。
出来上がりを見て気がついたのは、水滴でびちゃびちゃになりがちだったセブンやファミマの冷凍餃子と異なり、その表面がまるで本当に焼いたかのように、程よく油でコーティングされていたことだ。食欲をそそる見た目という点では、非常に高得点だ。
その味は、豚肉のうまみを前面に押し出したコク深いものとなっており、非常に美味。またオイスターソースとほたてエキスが脇をがっちり固めており、味に奥行きが出ていた。噛み締めていくと、あとから野菜のほのかな甘さ出てきて、最終的な味のバランスもとても良い。皮は薄皮なのに、もっちり食感。しょうがの香りで後味が爽やかなのも好印象だった。
総評…1位はローソン
ここからは、今回のコンビニ冷凍餃子比較の総評を行っていきたい。
コストの面で見ると、セブンの「レンジで焼き餃子 5個入」と、ローソンの「ジューシー焼餃子」が、共に149円。ファミマの「野菜の旨み味わう焼餃子」は160円と、少々高めだ。
セブンは、野菜のうまみと、何より噛んだときにジュワッとつゆがあふれ出した感動は唯一無二。だが、皮が余り気味で全体的にびちゃびちゃと水滴まみれになっていたのが気になってしまった。
ファミマの餃子は美味しくいただけるのは間違いないのだが、値段が少々高いにもかかわらず他者より秀でたポイントが特に見つけられなかったのは難点か。加えて、焼き目の甘さは値段を考えるとマイナスと言わざるを得ないだろう。
そんななか、今回“コンビニ冷凍餃子ベスト1”に選んだのは、ローソンの餃子だ。1社だけ袋を開けてからレンジにかけるという調理法が功を奏したもっちり食感。そして何より、他2社より群を抜いて奥行きのある“肉のうまみ”が、その勝因である。こだわりの味にもかかわらず、値段が安いという点も評価できる。
薄皮派か厚皮派か、野菜重視か肉重視か。ひとえに餃子といっても味の好みは千差万別で、コンビニ餃子もそんな好みに合わせた多彩な味を披露してくれた。今回選んだ商品を店頭で見かけた際は、ぜひ実際に購入して、それぞれの美味しさを味わっていただければ幸いである。