ブルーライトとは、波長が380~495nmの青色光のこと。人間の目で見ることのできる光=可視光線の中で、最も強いエネルギーを持つ。ブルーライトがやっかいなのは、目の角膜や水晶体は350~800nmの波長を透過させるため、網膜にまで到達して影響を及ぼすことだ。
厚生労働省のガイドラインでも、ブルーライトが眼や身体に大きな負担をかけると認められており、「デジタルディスプレイ機器で1時間作業を行ったら、15分程度の休憩を取ること」を勧めている。
ブルーライトの受け過ぎには、大きく2つの問題が指摘されている。1つは目への影響。ブルーライトが到達した網膜に負担がかかり、眼病を引きおこす恐れもある。もう1つは、光による生体リズムの乱れだ。もともと日中にしか浴びていなかった光を、夜になっても受け続けることで、睡眠障害などの健康被害が起きるのだ。
●体内リズムをコントロールする
ヒトの体は、地球の自転による24時間周期に合わせて、体温や血圧、ホルモンの分泌などの働きを変化させている。この生物に備わる約24時間周期のリズムをサーカディアンリズム(概日リズム)という。
慶應義塾大医学部学眼科教授の坪田一男医師が代表を務める「ブルーライト研究会」によると、ヒトの目の網膜には、光の色を感知する「錐体(すいたい)」と、明暗を感知する「桿体(かんたい)」という2つの視細胞に加えて、近年、サーカディアンリズムをコントロールする役割を果たす「第3の視細胞」が発見されたという。この「第3の視細胞」は、460nmという強いエネルギーを持つ光のみに反応する。つまり、自然界からブルーライトを感知することは、体内リズムを整え、健康を維持する上で重要な役割を果たす一方、夜に感知することで、サーカディアンリズムを大きく狂わせてしまうのだ。
また最近では、シカゴのノースウェスタン大学が、3時間以上ブルーライトを見続けると、空腹感が増すことで肥満を誘発するのではないかという新説を発表。原因不明のさまざまな身体の不調との関係も指摘されている。
ブルーライトの影響を抑えるには、夜はできるだけ暗い環境で過ごし、サーカディアンリズムに沿った生活することだ。とはいえ、パソコンやスマホから離れた暮らしを続けることは難しい。
そこでよく利用されているのが、ブルーライトをカットするフィルムや「PCメガネ」、ブルーライトを軽減した蛍光灯型LED照明などだ。さらに今年に入って、もっと手軽に無料でブルーライトを抑えられるアプリ『ブルーライトカットブラウザ』『ブルーライト軽減フィルター ~ ブルーライトはアプリで対策!』などが発表された。これらをうまく活用しつつ、ブルーライトの受け過ぎを防ぐのが現実的な付き合い方だといえる。
研究段階とはいえ、ブルーライトの浴び過ぎは健康を蝕み、身体の不調を招くことだけは間違いない。
(文=チーム・ヘルスプレス)