会社から言われたり、住んでいる自治体から通知が来たりなどで、ほとんどの人が年に一度受けている「健康診断」。主に春先に行われますが、秋口のこの時期も多いはずです。
若いころは血液検査も、コレステロール値も全部「A判定」だったのに、ある年を境に「B判定」や「C判定」が出るようになると、急に不安になりますよね……。まして、運動や厳しい食事制限など「A判定」を取り戻すための労力を考えると、それだけでも憂うつになってしまいます。
しかし、『そんなにガマンしなくても健康診断A判定は取り戻せる!』(すばる舎/刊)の著者で医学博士の池谷敏郎さんは、それほど禁欲的な生活をせずとも健康診断の判定は改善するといい、日常生活のちょっとした工夫で健康診断の数値を改善する方法を教えてくれます。
一食だけの糖質制限で高血糖は改善する?
健診での「高血糖」に関する検査値は、二種類ある糖尿病のうちの一つである「2型糖尿病」につながるとあって、健康診断の各数値のなかでも特に気になるところです。
高血糖に関する検査値は、具体的には血糖値・HbA1c値・尿糖の3つ。どの数値も血中のブドウ糖の量が大きく関係し、この量を下げることで高血糖の改善につながります。
この観点から、近年盛んに提唱されているのが「糖質制限」。炭水化物や砂糖の摂取を控えることで高血糖の予防や改善を目指すこの方法ですが、まだ糖尿病ではない健康な人が実践すると、かえって栄養バランスが偏ってしまうリスクがありますし、三食すべてで実践するのは大変です。
そこで、池谷さんが提唱しているのが、三食のうち一食だけで炭水化物と砂糖を控えて、野菜や魚、肉でお腹を満たすというもの。これだけでも高血糖の改善につながりますし、適度なカロリー制限にもなって一石二鳥だといいます。
食生活改善で見落とされがちな「つまみ」
食生活の改善というと、普段の食事ばかりに目が行きがちですが、見落とせないのが「つまみ」です。
酒席で供される「つまみ」は、酒が進みやすいように塩分が強く効かせてありますし、魚の卵や内臓など、プリン体やコレステロールがあまりにも多すぎる食材がよく使われています。ですから、ついつい食べすぎてしまうと、血糖値や中性脂肪値、血圧、悪玉コレステロール、尿酸値など、多方面に悪影響が出てしまうのです。
お酒自体に含まれる糖質やプリン体はさほど多くないので、健康診断での数値改善を目指すなら「つまみ」の選択はとても重要です。
普段は「イカの塩辛」と「カラスミ」だったつまみを、枝豆と刺身、酢の物に変えるなど、酒の席での食べ物をひと工夫して、健康診断を乗り切りましょう。
実は健康診断の数値とも大いに関係がある「喫煙」
健康に悪いとは知っていても、健康診断の数値にはあまり関係ないと思われているのが「喫煙」です。
しかし、実はそんなことはありません。ニコチンはコレステロールの代謝に関わる酵素の働きを邪魔してしまうため、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増加させ、善玉コレステロールを減少させることが指摘されています。
また、血中のブドウ糖を分解するインスリンの働きを阻害するとも目されているため、健康診断の数値改善という面からみても、たばこはやめるに越したことはないのです。
毎日の習慣をちょっと変えるだけでも、充分健康診断の数値をいい方向に変えていくことは可能です。
「B判定」「C判定」から抜け出したい人、不規則な生活を送っている人、暴飲暴食がすぎる人は、健康診断で不安な思いをしないために、そしていつまでも健康でいるために、本書を参考に、生活を少しだけ変えてみると、やがて大きな成果につながるかもしれません。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。