このように語るのは、サッカー国際審判員の家本政明氏だ。
日本の国際審判員は、アジアのクラブチームによる大陸選手権大会であるAFCチャンピオンズリーグが始まると、西アジアまで行かなければいけない。サッカーの国際大会では、同エリアの審判は試合を裁くことができないため、東アジアに分類される日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の審判員たちは、必然的に遠い西アジアの試合の審判を割り当てられるのだ。
つまり、選手以上の移動距離を強いられることになる。ある意味では、日本代表・海外組選手たちと同じ過酷さといえるかもしれない。飛行機での移動は首コリや肩コリにもつながるが、家本氏は 41 歳という年齢にもかかわらず、ケガすらもなくこなしている。
その秘訣が、『ロダンのポーズで肩と首の痛みが治る!』(著:石井紘人、監修: 夏嶋隆/ぴあ)に記されているような、数々の動作にある。
伸ばしてもコリは改善しない
家本氏は、動作解析のスペシャリストである夏嶋隆氏同様に、肩や首の痛みのほとんどが現代病だと分析する。
「人間は、どんどん動かなくなっています。座ることが増えて、パソコン作業のように等距離で画面を凝視して、じっとすることが多くなっています。ものを見ようとすると、どうしても頭が前に出てしまいます。頭の重さは、およそ7~8kgといわれていますから、それが前のめりの姿勢になれば首などに負荷がかかり、体のバランスが崩れるのは当然です。本来、体の後ろ側の筋肉は縮め、前側の筋肉は伸ばすべきですが、現代の首コリや肩コリの治療法は、それが逆転しているのです。姿勢を長時間維持しようとして体が固まってしまうような日常の癖が積み重なり、さらに急な負荷がかかると体が壊れてしまうのです」