日本のスマートフォン市場ではiPhoneのシェアが高く、その数字は35.9%にも及ぶ。スマホ使用者のおよそ3人に1人はiPhoneユーザーということになる計算だ。
しかし、世界に目を向けると、シェア1位はサムスン、2位はファーウェイ、3位がアップルとなっている。また、4位以下は中国メーカーのシャオミ、OPPO、VIVOが三つ巴の戦いを繰り広げていて、上位3社も油断できない状況だ。
iPhoneユーザーは、選ぶ理由として「性能の高さ」を主張しがちだが、今や他メーカーのスマホもすさまじい進化を遂げており、iPhone以上のスペックや個性的な機能を持つ機種も多く存在する。今回は、そんなiPhone以外で尖った機能を持つ個性的なスマホを紹介しよう。
ファーウェイ P30 Pro
カメラの性能に定評がある中国・ファーウェイのハイエンドモデル。メーカーが「写真の常識を変える」とうたうほどの自信作だ。スマホはもはやさまざまな機能が成熟期を迎え、他社と差別化を図るにはカメラの性能しかないともいわれる。そんななか、ファーウェイはカメラ・レンズの老舗であるドイツのライカと提携し、他社に先駆けてカメラ性能に力を入れている。
今回のカメラの構成は、約4000万画素の「広角」(F1.6)、約2000万画素の「超広角」(F2.2)、約800万画素の「望遠」(F3.4)、被写界深度計測用「ToFカメラ」となり、スマホ史上初のクアッドカメラレンズ(4つのレンズ)を搭載。画素数、F値ともにiPhone11を上回っている。
被写界深度を測定する「ToFカメラ」はポートレート撮影で効果を発揮。メインの被写体と背景を認識し、背景の距離に応じて遠くのものがよりボケるように表現されるため、一眼レフカメラで撮影したかのようなリアリティのあるボケ味が再現されるのだ。
また、望遠カメラの光学ズーム倍率は約5倍という、スマホとは思えないほどの高倍率を実現。光学ズームは多くのスマホで使用されるデジタルズームと違い、画質が劣化しづらいのが特徴で、一眼レフでズーム撮影したようなきれいな写真になる。
さらに、色センサーを変更し、光の取り込みを40%アップさせたことによって、夜景などの暗い場所でもきれいな写真が撮れるようになった。カメラはもちろん、その他のスペックに関してもiPhone11に負けない性能だ。
Unihertz Atom
現在、スマホのディスプレイは大きくなる一方だが、それに逆行している最小スマホがUnihertzの「Atom」だ。Unihertzは中国に拠点を置くスマホメーカーで、Atomは2017年発売の世界最小の4Gスマホ「Jelly Pro」の後継機種である。
最大の特徴であるディスプレイサイズは、手のひらにのる2.45インチ。iPhone11、ファーウェイのP30が6.1インチなのと比べて、約3分の1のサイズだ。
小さいからといって、スペックはあなどれない。カメラはフロントが800万画素、リアが1600万画素、OSはAndroid 8.1をプリインストールするなど、ミドルクラスのスマホに匹敵する。さらに処理能力も十分で、パズルゲーム程度ならストレスなくプレイができる。
さらに、指紋と顔のダブル生体認証が可能で精度も高い。防水、防塵、耐衝撃筐体なので、落としてしまっても心配はない。大画面スマホの扱いづらさに飽き飽きしている人は、ぜひ手にとってほしい。
シャープ AQUOS zero2
画面が大きくなると重量も増してしまうものだが、シャープの「AQUOS Zero2」は6インチ以上で電池容量が3000mAhを超える防水(IPX5以上)対応のスマホにおいて、世界最軽量の141gを実現した。
他社の6.4インチのスマホの重さを見ると、「OPPO Reno A」は169.5g、「Galaxy A30」は176g、「ZenFone 6」は190g。また、iPhone11は6.1インチながら194gもあり、AQUOS zero2の141gはその軽さが際立つ。
メモリは8GB、内蔵ストレージが256GBで、カメラ機能はメインカメラが有効約2010万画素+1220万画素のデュアル構成、サブカメラは約800万画素となっている。また、電池持ち時間は約90時間で、防水防塵性能やおサイフケータイも備えるなど、十分すぎるスペックを誇る。さらに、立体音響技術「ドルビーアトモス」も採用され、大画面で迫力のある映画やゲームを楽しむことができる。
ASUS ROG PhoneII
今や国内スマホゲーム市場の規模は1兆円を超えており、ゲームに特化したモデルの需要も高まりを見せている。スマホゲーマーからの評価が高い「ROG PhoneII」は、現存するAndroid用CPUのなかで最強のSnapdragon855+を搭載し、高性能化が図られている。
また、6.59インチと大画面なのはもちろんのこと、リフレッシュレート120Hzを実現し、1秒に画面が120回書き換わるという、なめらかな映像が特徴だ(多くのスマホは60Hz)。
さらに、背面に搭載された冷却ファンが発熱したCPUを冷やしてくれるので遅延やトラブルの回避につながる。ほかにも、2つのスピーカーとアンプ、L/Rボタンや大容量バッテリーなど、ゲームに必要な機能がてんこ盛りだ。eスポーツが盛り上がりを見せる昨今、ゲームを基準にスマホを選ぶのもアリだろう。
CAT S61
最後は、タフで特殊カメラを搭載したスマホをご紹介。建築機械世界シェアナンバー1の米キャタピラー社が販売する「CAT S61」は、工事現場作業員のみならず、米軍も導入しているといわれるほどの頑丈さを誇る。
画面解像度がHDと低いのが欠点だった前作のS60から大幅にスペックが改善され、解像度はフルHDとなり、CPUをグレードアップすることで処理能力が上がり、メモリも4GBになるなど、通常利用なら不満なく使える性能だ。
ゴリラガラス5搭載による高い耐久性、水深3メートルで1時間耐えられる防水性、1.8メートルからの落下耐性など、タフさで右に出るスマホはないだろう。
さらに、赤外線カメラを搭載しており、温度の可視化が可能。このカメラによって、マイナス20~400℃までを触れることなく計測できるのだ。また、レーザーで8mまでの距離を測定できるレーザー支援型距離測定機能を搭載。おまけに、揮発性有機化合物を検知してくれる室内空気質モニターもついている。
もはや都市生活者には無駄とも思える機能が満載だが、他人とかぶらないスマホを持ちたいという人には、特におすすめだ。
(文=清談社)