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しかしながらアップルの4~6月期の決算では、最近販売を伸ばしてきた中国でもマイナスを記録するなど、iPhoneの販売が世界的に落ち込むなか、日本市場だけは23%の伸びを記録している。しかも日本は、スマートフォン利用者の半数がiPhoneユーザーであるといわれるほどiPhoneが圧倒的に強い、アップルにとっては貴重な市場でもある。それだけにアップルとしては、FeliCaや耐水性能の採用により日本市場への積極的な対応を進めることにより、行政の影響があってもなお販売を伸ばしたい考えがあるといえそうだ。
正念場を迎えるのは来年
とはいえ、行政の影響によって市場が徐々に変化を見せ始めているのは確かであり、その影響は新iPhoneの販売にも出てきているようだ。
従来、新iPhoneの発売後には各社が割引の大きさや下取り価格の高さを競い、ときには予約開始までに料金が決まらなかったことさえある。しかしながら今年のiPhone 7/7 Plusの発売に関しては、ソフトバンクが月額6000円で20GBの高速データ通信容量が利用できる「ギガモンスター」を打ち出すなどサービス面での競争は起きていたものの、キャリア同士がiPhoneに関連する価格面で激しい争いを繰り広げる様子は見られなかった。
今年も例年通り、NTTドコモなど各キャリアがiPhone 7/7 Plusの販売イベントを実施したが、販売価格をめぐる激しい攻防は見られなかった
これまで、日本でiPhoneの人気が非常に高かったのは、端末やOSの魅力などもさることながら、キャリア同士の激しい販売合戦によって、スマートフォンのなかでももっとも安価に購入できる端末となったことが大きく影響している。それだけに、キャリア側が従来よりもiPhoneの割引をしづらくなったことは、iPhoneにこだわっていない人たちにとってはデメリットとなり、販売減少につながる可能性も十分考えられるだろう。
もっとも今年に関しては、FeliCa対応などで日本向けの取り組みが大幅に強化されたこと、そしてキャリア側もiPhoneへの販売注力を継続していることから、劇的に販売数が落ちるとは考えにくい。しかしながらiPhone 6/6 Plusで実現した大画面と同様、FeliCa対応などがインパクトを与えられる機会は今年1回限りである。それだけにアップルにとっては、次のiPhoneが発売される来年こそが、日本におけるiPhone販売の正念場となる可能性が高いといえそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
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