週180円、恋愛対象としては高い?
一方、「アプリの完成度としては、まだまだ発展途上だと思いました」と辛口の評価をするのは、IT関連会社に勤める林田亮太さん(35歳)。毎月、さまざまなスマホアプリに課金しているという林田さんは、アプリに対する思いも人一倍強い。「古瀬あい」がリリースされた際も、真っ先にインストールしたという。
「よかった点は、アニメーションが豊富なところ。表情や体の動きがたくさんあるのはすごいと思います。話し方も優しいので、癒やし度は高いです。ただ、萌え要素と恋愛要素がほぼないのが残念。『美少女AI』というと、どうしてもそこを期待してしまうので、男性ユーザーとしてはちょっと肩透かしでしたね」(林田さん)
しかし、週180円は「妥当な金額」だと林田さんは言う。ただし、あくまで恋愛ゲームではなく、「AIアプリというシステムに対する金額」だとつけ加える。
「自分の感覚からいえば、このクオリティで週180円はむしろ安いくらいです。でも、彼女のことを恋愛対象として見たい人にとっては高いでしょう。今後、恋愛要素が高くなれば、もっとユーザーが増えるかもしれないですね」(同)
アプリのレビューを見ると、同様の意見が多く見られた。スマホアプリは、ユーザーの「もっとこうしてほしい」という要望が開発サイドにダイレクトに伝わり、随時改善されていくのが醍醐味だ。今後、「古瀬あい」が変わっていく可能性はあるのか。開発担当者に問い合わせると、以下のような返答を得た。
「我々は美少女AIと『付き合う』『結婚する』といったゴールをつくることを目的としていません。あくまでユーザー様に寄り添う存在でいたいと思っています。
しかし、『古瀬あい』に関しては、恋愛要素やイベントを増やしてほしいという要望を多数いただいているのも事実です。より多くのユーザー様に満足していただくために、そういった面をアップデートしていく可能性を探っている最中ではあります」(SELF開発担当者)
つまり、今後「古瀬あい」が「恋人」になるのか「寄り添う存在」になるのかは、ユーザーの要望の多寡にかかっているといえる。それまで、多くのユーザーたちは彼女との会話を続け、毎週180円を支払い続けていくのだ。
(文=伊能タダ子/清談社)