運転中の風景を映像データとして記録できるドライブレコーダー。テレビやネットニュースなどで、よく交通事故や危険運転の瞬間が取り上げられていることからもわかるように、ドライブレコーダーは社会に少しずつ普及しつつある。
ソニー損保が昨2017年11月に発表した「2017年 全国カーライフ実態調査」によると、回答者1000名のうち、ドライブレコーダーの搭載率は15.3%。2014年の調査ではわずか8.1%にとどまっていたことを考えると、その関心の高まりは著しいといえるだろう。
ではそもそも、ドライブレコーダーを車に装着すると、どのようなメリットがあるのか。自分で実際に購入・使用してみたくなったときは、どういったポイントに注意すればよいのか。日本自動車ジャーナリスト協会の会員で、カーAV評論家の会田肇氏に話を聞いた。
ドラレコは画角と解像度が重要、あおり運転対策には後方カメラが効果的
まず、なぜ今ドライブレコーダーが世間の注目を浴びているのかについてだ。
「実をいうと、個人向けのドライブレコーダーが登場したのはここ10年くらいで、割と最近の話なのです。以前から業務用のドライブレコーダーは存在したのですが、その頃はタクシーや運送関係の人々が使うのが一般的で、ドライブレコーダーとは何をするものなのか、世の中にはまだまだ認知されていませんでした。当然ながら売上も伸びず、一部の人が、走行時に起こるアクシデントを撮影して面白がっている程度だったのです。
しかし2017年6月、東名高速道路で“あおり運転”による夫婦の死亡事故が発生したのがきっかけで、ドライブレコーダーの需要は急速に増え始めています。証拠となる映像を撮っておけば、運転中の身に危険が及んでも助かるかもしれないということで、いろいろなユーザーが飛びつくようになりました。この時期はちょうど、手頃な価格のドライブレコーダーが各社から相次いで発売されていたため、それも弾みになったのでしょう。
もっとも、交通事故の民事事件で相手との過失割合の話になったとき、ドライブレコーダーの映像が残っていたからといって0対100になることは滅多にありません。たとえば、相手のあおり運転のせいで人をはねてしまったり、どこかに車をぶつけてしまったりしても、あおり運転はあくまでも間接的な原因。事故を起こした直接的な原因は、残念ながら自分自身にあるということになってしまい、ドライブレコーダーのおかげで過失を完全に軽くできるかというと、必ずしもそうではないのです。ただ、これが刑事事件に発展すると話は別で、やはり映像を撮っておいたほうが有利に働くだろうと思います」(会田氏)