全国各地で気温35℃以上の猛暑日が続くなか、気になるのはスマートフォンの動作不良や故障が生じてしまわないかどうかだ。各メーカーはスマートフォンの動作温度を概ね0~35℃程度に設定しており、35℃以上の環境下で使用するとパフォーマンス低下などの動作変化が生じる懸念がある。屋外で業務上の必要性から長時間におよびスマホを操作しながら働く人にとっては、端末が故障してしまわないかが気になるところ。各メーカーの端末の仕様を整理してみたい。
山梨県甲州市勝沼で38.0℃、群馬県桐生市で37.1℃、埼玉県鳩山町で37.0℃、東京都練馬区で35.7℃、宇都宮市で35.3℃、京都市で35.0℃など、11日は全国57の観測点で猛暑日が記録され、暑さが続いている。気象庁と環境省は連日、一部地域で「熱中症警戒アラート」を発令し、日中の外出をなるべく避けるよう呼び掛けているが、日中も長時間にわたり屋外で仕事に従事しながらスマホを使用する人は多い。
スマホメーカー各社は端末の動作温度を設定しており、その温度範囲の環境下で使用するよう推奨している。メーカー別で国内シェア1位のアップルはiPhoneやiPadなどの動作温度を0~35℃に設定。この温度を超える場所で使用すると動作が変化したりバッテリーの持ちが悪くなるとしている。また、端末はマイナス20~45℃の場所に保管するよう呼び掛けており、暑い場所や直射日光下で特定の機能を長時間使い続けると以下のような変化が生じる懸念があるとしている。
「・充電 (ワイヤレス充電も含む) が遅くなる、停止する。
・ディスプレイが暗くなる、またはディスプレイに何も表示されなくなる。
・携帯電話無線が低電力モードになる。この間、電波が弱くなることがあります。
・カメラのフラッシュが一時的に無効になる。
・グラフィックを多用する App や機能、拡張現実対応の App や機能でパフォーマンスが低下する」(同社HPより)
iPhone所有者であれば、画面が黒くなって「高温注意 iPhoneの本体温度が下がるまでお待ちください」という警告が表示され一時的に使用できなくなった経験があるかもしれない。
直射日光のカメラへの悪影響も見逃せない
国内シェア2位のシャープはAQUOSの動作環境について、周囲温度5~35℃、湿度35~90%に設定。「AQUOS R2」からは、効率的に熱を逃がす独自の放熱設計「サーモマネジメントシステム」を実装し、端末内部の熱を素早く外に逃がしてハイパフォーマンスを維持できるようになった。
「手に触れる表面が熱くなり過ぎないよう安全を保ちながら、十分にパフォーマンスを発揮することができるようになりました」(同社HPより)
ちなみにAQUOSは防水機能を備えているが(常温の真水・水道水のみ)、風呂場では浴室温度5~40℃以下、湿度99%以下、2時間以内で使用するよう定めている。
国内シェア5位のサムスンはGalaxyの最適使用温度を0~35℃に設定。極端な高温下で使用するとバッテリーの劣化や予期しないシャットダウンが発生する可能性があるとしている。また、暑い日に車中などに端末を長時間放置しないよう注意を呼び掛けている。
このほか、国内シェア4位のソニーはXperiaの動作環境を温度5~35℃、湿度45~85%に設定している。
大手携帯キャリア関係者はいう。
「GPS機能やゲームなど、大容量通信を伴う画像処理が発生する操作を長時間利用すると、端末の温度が高温になりやすい。どのメーカーも基本的な仕組みは同じだと思うが、高温になると『それ以上高温』にならないように自動的にCPUの動作が遅くなるようにつくられているので、動作が遅くなる。すぐに故障するということはないが、特にバッテリーは高温に弱いので劣化して寿命の短縮につながる。また、意外に盲点なのが、直射日光が及ぼすカメラへの影響。カメラは長時間日光にさらされると性能が劣化するので注意が必要」
(文=Business Journal編集部)