ちなみに、同社は「Wondershake」という、共通な趣味や目的を持つ人と人との出会いを演出するアプリも運用している。
「『Wondershake』は人と人との出会いを演出し、『Locari』は人とモノとの出会いを演出する」としていることからわかるように、同社が目指すコンセプトは「出会い」。「このアプリが普及することで、一人でも多くの女性が素敵なアイテムに出会えることを期待している」と鈴木氏は語る。
しかし、そう簡単に女性の心はつかめない。前出の調査レポートにおける『新商品への意識と実態』では、約78%の女性が「新商品は評判を確認してから買う」と回答している。
「Locari」では、アイテムの画像を並べるのはもちろん、そのアイテムの使い方や部屋での飾り方などを解説したブログを開設し、文章だけでは伝わらないアイテムの魅力を伝える仕組みを構築している。
アイテムの写真を眺めているだけでは購買意欲が高まらない女性でも、実際の使い方を見れば、つい買いたくなるというわけだ。
●自社ブランドよりもプラットフォーム構築にこだわる
「Locari」に出店する際には、手数料がかからない。ECサイト運営者の大きな収入源であるショップの出店手数料をあえて取らない手法は「Yahoo!ショッピング」と同じだが、「『Locari』が目指すのはECサイトではなくメディアです。そのため、サイトの利便性を付加価値にすることで、ユーザーから対価を得るようにしています。また、メディアですから、自社PBブランドをつくる予定もありません。女性とアイテムの出会いを少しでも増やせるように、プラットフォーム構築に専念して、『Locari』に出店してくれるショップをできるだけ増やします」と鈴木氏は述べている。
解説ブログに掲載する広告掲載料以外に、無料会員よりも優先的に新着商品を閲覧できる、プレミアム会員限定の商品が提供される、などの優待措置がある月額制のプレミアム会員制度を導入し、収入源とする狙いだ。
「ECサイト」とひとくくりにすると、競合するサービスはたくさんある。ソーシャルコマースで一躍有名になった「Fancy」や、O2Oでリアル店舗と連携し、友達の購入した商品などをチェックできる「Origami」などがそれに当たる。
しかし、「Locari」はこれらと一味も二味も違った、女性にアイテムとの出会いや発見する喜びを提供する構造基盤によって、EC業界に新たな風を巻き起こしてくれるだろう。
(文=久我吉史)