ソフォス社のレポートによれば、米ペンシルベニア州ニュートリポリに住む45歳のある母親が、地元学区(ノースウエスタン・リーハイ学区)のコンピュータシステムに不正アクセスして、自分の子供たちの成績を改ざんしていた。この母親は以前、同学区の事務員として働いていたことがあったという。その頃に教育長のパスワードを入手し、不正アクセスに使っていたようだ。
具体的には次のような改ざんだった。この母親には2人の子供がいるのだが、まず娘の成績について落第とされた評価を良いように書き換えた。もう1人の息子については、100パーセント満点で98パーセントとなっていた到達率(成績)を99パーセントに書き換えている。
こうした子供の成績改ざんだけでなく、ほかにもいくつかの不正アクセスを学区のコンピュータシステムに対して行っていた。1年半におよぶ不正アクセス行為により、この母親は逮捕されている。
これは歪んだ親心がネット犯罪を起こしたケースだが、良い成績欲しさにネットを悪用するのは親だけではない。2011年2月に世間を騒がせた京大入試カンニング事件(入試時間中に携帯電話からQ&Aサイト「Yahoo!知恵袋」に試験問題を投稿して回答を求めた事件)のように、子供もネットを駆使して、自分の成績を上げようとしている。
ネットを使ってテストやレポートを楽に仕上げようとする「ネットカンニング」は、至る所で起きている。たとえば韓国は、04年の大学入学試験で、数百人の学生がネットカンニングに関与したと言われ、翌年からは携帯電話の持ち込みが禁止された。06年にも、TOEICの試験で似たような携帯電話カンニング事件が起きており、韓国におけるネットカンニング問題は根深いようだ。
アメリカでは、学生向けの「カンニングサイト」なるものも堂々と存在している。そこにはさまざまなレポート文例集が掲載されており、学生は「学習支援」を名目に利用することができる。