普通すぎ、意外に便利…結局iPad miniは買いか?
そんなキャッチコピーとともに「iPad mini」が登場した。ずいぶん前から「7インチディスプレイ搭載のiPad」というものの登場は噂されていて、何度もそれは否定されてきていた。
故スティーブ・ジョブズ氏は、「7インチタブレットは中途半端だ。スマートフォンと戦うには大きすぎるし、iPadと戦うには小さすぎる。7インチタブレットは初めから死んでいる」とまで言っていたという。(http://jp.techcrunch.com/archives/20121025tim-cook-we-will-never-make-a-7-inch-tablet-we-dont-think-theyre-good-products/)
それでも噂が消えなかったのは、それだけ多くの人が待ち望んでいたからだろう。
「下請け工場からのリークがあった」
「もう作り始めているらしい」
などとまことしやかな噂が流れる中、2012年夏には登場がほぼ確実視されるようになった。一時はiPhone 5と同時発表なのではないかとも言われた中、実際に発表されたのは米国時間で10月23日のことだ。
ところが、あれほど待ち望まれていたはずなのに、「がっかりだ」という声が多く聞こえる。iPad miniの登場待ちをしていた人々の中には、発表を中継で見ながら「これで踏ん切りがついた、Nexus 7を買う」というようなことをツイートしていた人もいたほどだ。
●iPad2+カメラ強化+小型化=iPad mini
何ががっかりなのかといえば、まずは期待が高まりすぎたということがあるように思える。長く噂があり、アップルというスマートデバイス界隈で圧倒的なリードをとっている企業が出してくる製品に対して、期待しすぎた。「きっと何かすごいものを出すに違いないと思っていたら、普通だった」というのが正直な感想だろう。
実際、スペックは普通すぎるほどに普通だ。同時発表された第4世代iPadに及ばないのはもちろん、実は「新しいiPad」と最近呼ばれていた第3世代iPadにも及ばない。どこと同じかといえば、iPad2とほぼ同じだ。CPUと液晶解像度がまったく同じで、カメラまわりだけ、やけに強化されている。(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/113/113871/)
以前、高精細の代名詞的にも使われていた「Retinaディスプレイ」を採用していないという話が流れた時点で、興味を失った人も多かったようだが、実際に7.9インチというサイズでそれほど高解像度である必要があるのかといえば、そんなことはないだろう。ただ、一度上位の性能を見てしまうと「普通」では見劣りしてしまうのだ。
そして価格が予想以上に高かった。最安値となるWiーFi版の16GBモデルで2万8800円。第3世代iPadのWiーFiモデルは16GBで3万8800円だ。1万円しか違わない。全体的に、あと1万円足せばフルサイズのiPadが買えるという価格設定だった。「ミニなのは、サイズだけ。」というだけあって、お値段もミニではない。
しかし、技術的には小さなスペースに同じ機能を詰め込むのには、手間と技術が必要だ。だから小さいものは割高感のある値段になりやすい。そう考えれば別に理不尽に高額だというわけではない。
ところが近年、ネットブックやUltrabookなど小さくて安価な機械が身近になってきたせいで、ユーザーはいろいろ錯覚している。しかも、iPad mini発表に先駆けて登場した7インチのAndroidタブレット「Nexus 7」が、1万9800円と安価だったこともあり、比較されてしまったのだろう。
●花盛りの7インチクラスでiPad miniの勝ち目は?
結局、iPad miniは「買い」なのか?
これは用途とユーザーの性格によって変わってくるところだ。すでにiPhoneを持っていて、何か持ち歩けるタブレットも欲しいという人にはちょうどよいだろう。最も向いているのは、iPadをすでに持っているが、重い、大きすぎると感じていたユーザーだ。