これから日本はどんな未来を辿っていくのか、それを知りたいと思っている人は多いはず。
しかし、そこには大きな問題がある。「人口減少」だ。社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の将来推計人口によると、1億2,700万人を数える日本の総人口は、40年後に9,000万人を下回り、100年も経たないうちに5,000万人ほどに減少する。一方、2042年まで65歳以上の高齢者は増えていく推計になっている。
人口減少にともなう影響や今後起こりうる出来事を、図表を使ってビジュアル化して紹介するのが、『河合雅司の未来の透視図』(河合雅司著、ビジネス社刊)だ。本書では、ふんだんに図表を使うことで日本社会がこれからどう変わっていくかを俯瞰できるようにし、眺めるだけで「日本の未来」を読み解くことができる。
少子高齢化社会において、今、ひとり暮らしの高齢者が自宅で死亡する「孤独死」が問題になっている。東京23区内だけで、10年間で孤独死が倍増、2015年には初めて年間3,000人を超えた。都内だけで1日平均8.6人が孤独死している計算になる。
このような状況において、増加しているのが孤独死予備軍だ。内閣府の「高齢社会白書」(2018)によると、女性高齢者の約5人に1人がすでにひとり暮らし。そして、この割合は増え続け、2035年には約4人に1人がひとり暮らしになると予想される。
平均寿命が長い女性は、夫を看取って独居になる例も多く、孤独死予備軍となりやすい傾向があるようだ。
また、高齢化社会の先には何があるのだろうか。
本書の回答は「多死社会」だ。社人研の推計では、日本の年間死者数は戦後最多を更新し続けており、2039年から2040年頃に約168万人とピークを迎える。これは1日あたり約4,600人が死亡する計算となる。
こうなると深刻になるのが火葬場問題だ。火葬場や葬儀場が順番待ちになり、遺体を何日間も火葬できない、葬儀がとりおこなえないなどのトラブルも増えることが予想されるという。
河合氏は、日本の人口減少社会の問題点はただ単に「人口」が減っていくことではなく、高齢者の激増、勤労世代の激減、出生数の激減の3つによって引き起こされていることだと述べる。
これからの日本がどのような社会になっていくと予想されるのか。誰もが年齢を重ねていくもの。他人事ではないはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。