「中国から見たら天候操作による攻撃は、日本を標的としやすいのは事実です。中国で舞い上げられた砂が日本に降りそそぐ黄砂からもわかるように、一年を通じて大陸側から日本に向けて偏西風が吹いているため、もし中国側でヨウ化銀を大気中にまけば理論的には日本上空で豪雨が発生することになります。」(西村氏)
仮に中国がそういった気象攻撃を仕掛けてきた場合、これを防ぐのは「不可能」だと西村氏は指摘する。
「ヨウ化銀を含んだ雨雲が日本に達する前に、さらに多量のヨウ化銀を撒けば防止できますが、大量の雨雲に対して行うのは現実的に無理。豪雪地帯の冬は、なお困難ですし、ヨウ化銀には毒性がある場合があるので環境被害の危険性もあります」(同)
ビラには「台風に高熱を与えることで防げる」として、そのための兵器として核保有が不可欠だという極論も書かれているのだが、西村氏は「連続的な投下が必要で放射能被害も考えれば非現実的」と首を振る。ただ、実際に中国が気象攻撃をするには問題があるという。
「日本が高温多湿地帯であるから成り立つ気象攻撃ですが、裏を返せば日本の水資源が豊富であるということでもあります。人が使用する水量はひとり当たり年間1700トンといわれていますが、中国では水不足でこれが1703トンとギリギリのレベル。地域によっては500トンぐらいしか使えていません。中国ではこの問題の解消に躍起なので、現状では他国を攻撃する余裕もメリットもないと思われます」(同)
それにしても、被災地で中国による気象攻撃だなどというビラをまく行為は許されるものではない。警視庁によると「公道での宣伝行為は、警察の道路使用許可が必要となり、ビラ貼りについても各自治体で規制がされている」とのことだが、その内容が宣伝などではなく、トンデモないものである場合には違法性はないという。
(文=和田修二)