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エネルギーの影響が大きすぎるため、新指標を重視し始めたとの主張は一理あるが、東大日次物価指数も下落時には触れず、上昇局面になり言及を始めており、都合良いデータを拾っている印象はぬぐえない。新コアCPIにしても円安によるコストプッシュの面が大きく、一巡すれば基調は崩れるのは時間の問題。16年度前半に2%の物価目標を柔軟に再設定しない限りは、金融政策の変更は不可避なのが実態だろう。
緩和余地に不透明感
とはいえ、市場が期待する追加緩和に日銀が動いたところで、どこまで緩和余地があるか不透明感が強い。長期国債の買い入れは限界に近く、追加買い入れはほぼ不可能。たとえ10兆円程度買い増したとしても、物価目標の達成にはほとんど効果を見込めない。一部でささやかれる、日銀当座預金の超過準備に付されている利息(付利)の引き下げについても効果は未知数だ。
加えて、米国が利上げを先延ばした以上、日銀が先に動けば、手足が縛られ、政策変更余地は小さくなる。中国経済の行方も見極めが難しく、外部環境の複雑さは増す。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意したことで、米議会の承認を前に円安進行で米国の刺激を避けたい意向も官邸周辺では見え隠れする。
追加緩和を見送れば2%の物価目標達成へのコミットメントの達成意欲を疑われ、動けば円安進行による輸入業者や個人消費への悪影響は大きく、政治的な支援は受けられない。個人的な見解としては、米国の利上げの判断を見極めた上で、来年1月に追加緩和に動くとみている。日銀にとっては試練の時が続きそうだ。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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