関連省庁の関係者によると、警察庁は治安維持目的で警察業務に特化したドローンの独自開発を進めているという。警察関係者も最近、「治安維持が必要になった場合に備えて、政府省庁間の合同でドローン研究・開発を進めている」と、韓国メディアに対して明かしている。
韓国では、警察と山林庁、海洋警備安全本部、中央消防本部が合同でドローン開発のための事業計画を策定した。関連省庁は今年、すでに6回の実務協議を終えており、近いうちに予算確保に乗り出す方針だという。警察関係者は、「技術的な面だけ見れば、警察業務に適したドローンの生産は3年以内に実現可能」と述べている。
今年3月、韓国警察ではすでに、行方不明者捜索の目的でドローンを投入したことがある。ただし、飛行時間などの制限によって効果を発揮することができず、警察内への配備が見送られた経緯がある。それでも今後、多様化する犯罪対策や行方不明者の捜索にドローンを投入し、治安維持に積極的に利用していく構想だという。
一方で、警察のドローン配備については懸念すべき点が多い、とメディアは警鐘を鳴らしている。その大きな理由としては、政府による過度の監視が、個人のプライバシー侵害につながる可能性を秘めているからだ。
11月17日、韓国国会では14日に国内で起きた大規模な民衆デモについて議論が交わされた。その中で、与党セヌリ党の議員数名が同デモは違法だと糾弾し、「今後、デモ鎮圧にドローンを使用できないか」と警視庁長官に打診する一幕があった。セヌリ党の議員たちは続けて、「ドローンがデモ隊の上を飛行すれば、心理的圧迫になる」と、その意図について説明した。警察庁長官はこれに対し「野党を中心に国会で異論が多いため、時期尚早」としたのだが、裏を返せば野党の了解さえ取れれば、いつでもドローンを自国民に対して使用することができると取れる。
ドローンについては、犯罪利用もさることながら、政府の恣意的な利用に対して国際的な反発が相次いでいる。例えば、米ノースダコタ州では8月、高電圧の電気ショックを発射できるドローンが治安維持目的で合法化され、国民を巻き込んだ大論争に発展している。韓国警察にドローンが導入されれば、国際的な注目を集めるのは必至だ。しかし、その利用にあたっての課題や法的な枠組みについては、しっかりとした議論が必要となる。
(取材・文=河鐘基)