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投資家の不安はかえって広がった。包商銀行は不動産バブル、株投機の裏金処理、インサイダー取引の“ATM”だった。当該銀行を倒産させないで救済したのは、リーマン・ショックの前兆に酷似してきたと金融界が認識することを怖れたからだ。しかし、信用組合レベルの金融機関は倒産が続き、7月には遼寧省の錦州銀行が管理下に置かれた。ほか420の金融機関が不良債権のリスクを抱えている。こうした矛盾は、全体主義システムの欠陥から来る宿命なのである。
中国が迎える“ゴースト化”という末路
例年、中国は3月の全人代(全国人民代表大会)で、その年のGDP成長率の目標を発表する。行政単位の市、県、村、鎮は、その数字(ちなみに19年は6~6.5%)を守るばかりか、それ以上の数字をはじき出すために無理を重ねる。でたらめな計画の元に借金を増やし、何がなんでも目標達成がノルマになり、誰も乗らない地下鉄、クルマが通らない橋、人より熊の交通が多いハイウェイや事故が頻発するトンネル、テナントが入らないショッピングモール、そしてムジナとタヌキの住み家となった高層マンションが集合して、ゴーストタウンの乱立となる。
砂上の楼閣、蜃気楼の繁栄は、やがて泡沫のように消滅するだろう。残るのは史上空前の借金である。成長率が落ちて、ゴーストタウン化が進み、工場が閉鎖され、潜在的失業は数百万人にのぼる。窮余の一策としての「一帯一路」は、余剰在庫と余剰労働力の処理のためのプロジェクトだった。それも、世界中から「借金の罠」と非難を浴びて世界各地で頓挫している。
近未来の姿は「ゴースト・チャイナ」だ。
(文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト)
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