「学業不振×進路の悩み」「学業不振×就職失敗」「進路の悩み×就職失敗」といった将来展望同士の組み合わせが目立つが、これらはもともと数が多いのだから当然といえる。
気になるのは家族との関係で、「家族からのしつけ・叱責」と「親子関係の不和」は3原因すべてに登場し、実数42人が死亡していた。
内訳は、「将来×叱責」が実数23人、「将来×不和」が実数19人と完全に二分され、「将来×叱責×不和」という三重苦の大学生はゼロ。
「叱責グループ」と「不和グループ」が形成されていたことは不思議だが、問題は、「家族からの叱責」も「親子関係の不和」も、大学生の自殺原因としては決して多いわけではないということだ。
「家族からの叱責」は高リスク
これを家族の側から見るとどうなるか。
次の表では、「家族からの叱責」と「親子関係の不和」を軸に原因の組み合わせをまとめた。将来展望原因の位置と割合に注意してみてほしい。
・「家族からの叱責」はどの原因との組み合わせが多いか
学業不振……………………………………10人(21.74%)■
進路に関する悩み……………………………8人(17.39%)■
就職失敗………………………………………6人(13.04%)■
その他…………………………………………3人(6.52%)
親子関係の不和………………………………3人(6.52%)
経済・生活問題その他………………………3人(6.52%)
家族関係の不和………………………………2人(4.35%)
病気の悩み(うつ病)………………………2人(4.35%)
・「親子関係の不和」はどの原因との組み合わせが多いか
進路に関する悩み…………………………11人(19.30%)■
学業不振………………………………………7人(12.28%)■
病気の悩み・影響(その他の精神疾患)…6人(10.53%)
病気の悩み(うつ病)………………………5人(8.77%)
学友との不和…………………………………4人(7.02%)
家族からのしつけ・叱責……………………3人(5.26%)
病気の悩み・影響(うつ病)………………2人(3.51%)
就職失敗………………………………………2人(3.51%)■
その他…………………………………………2人(3.51%)
学校問題その他………………………………2人(3.51%)
「家族からの叱責」の半数以上(52.2%)が将来展望に関して行われていたことがわかる。「親子関係の不和」は将来展望にまつわる自殺のうち42.1%にとどまるが、いずれも将来展望との関係の強さは精神疾患以上だった。特に「叱責」の特異さが際立つ結果となった。
将来への悩みを抱えた大学生に対して、叱責や不和を抑制できれば自殺防止につながる可能性がありそうだ。
(文=佐藤裕一/回答する記者団)
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