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エネルギー政策の前に立ちはだかる壁は、まだある。原発稼働で出てくる核のゴミ(使用済み核燃料)の処分場所さえも、いまだに決まらない。仮に再稼働が進んで核のゴミが増えれば、今度は危険なゴミ処理の解決に迫られる。しかも、貯蔵所や処分場の決定にも住民の同意が欠かせない。
さらに、国民負担の問題が加わる。政策を続ける限り、国民は巨額のコストを利用電気料金と税を通じて負担し続けなければならない。政府は失敗を認め、核燃料サイクル計画の中枢に当たる高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃棄は決めた。しかし、サイクル計画は「もんじゅ」を欠いたまま姿を変えて継続している。すでに3兆円規模ともいわれる莫大な公費が投入されたが、実現のメドは今なお立たない。
こうした「先の見えないムダ遣い」を続ける罪は大きい。国の経済政策の根幹を成すエネルギー政策を組み立て直すことが最優先課題となるのは当然だ。地球温暖化で気候変動が激化する折、原発の安全性は以前にも増して脅かされる。関電事件で示された「ガバナンスなき企業」に、国民は安心して電力供給を一任するわけにはいかない。
国際エネルギー機関(IEA)は10月、再生可能エネルギーの発電能力が24年に現在より約50%増える、との予測を発表した。「再生可能エネルギーはすでに世界で2番目に大きな電力源だ」として、再生エネの電力化を加速するよう促した。
日本はこの国際的な流れに沿い、原発と石炭へのこだわりを捨て、再生可能エネルギーの供給拡大を急がなければならない。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)
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