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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

自民・秋元議員に強制捜査、検察の狙いは菅官房長官か…安倍政権&カジノ潰し

文=神澤志万/国会議員秘書
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東京地検特捜部による家宅捜索を受けた秋元司議員の地元事務所(写真:毎日新聞社/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 12月19日、東京地検特捜部が自民党の秋元司衆議院議員の議員会館と地元の事務所に家宅捜索に入ったことが大々的に報じられましたね。日本でのIR(統合型リゾート)事業に参入しようとした中国企業の元役員らが海外から不正に現金を持ち込んだとされる事件に、関連している疑いが取り沙汰されています。

 検察の職員がずらずらと事務所へ入っていく様子がテレビでも放送されていましたが、実際には国会内は静かなものでした。家宅捜索が行われたことを報道で初めて知った人がほとんどだと思います。というか、今回の家宅捜索をもっとも予期していなかったのは秋元事務所のスタッフだったのかもしれません。

 ただ、神澤を含めて会館内の捜索を見たことのある「経験者」だけは、「今日は秋元事務所に強制捜査が入るな」と予測することができました。家宅捜索の不思議なところは、本人に事前に通告されることはないのにマスコミは承知していることです。さすがに開始時刻までは知らされていないようで、朝から張り込んで待ち構えている記者も多いです。

 秋元議員については、少し前から秘書に対する捜査も行われていましたが、秘書仲間たちは、そういう騒動の渦中にいる秘書たちには声をかけづらいんです。そうなると情報交換ができず、マスコミの動きもわからないので、「今日も電話がバンバン来るのかしら」などと不安な気持ちで仕事をすることになります。

 また、現在の議員会館の事務所は防音設備がしっかりしていて、なかなか廊下の音が部屋の中まで聞こえてきません。こんなときに経験者がいれば、「昨日までひっきりなしにかかっていた電話が今日はちょっと少ない」とか「地方の放送局からは電話があるけど、東京本社からはないな。おかしいな」などと思えるのですが、そんな経験者はほとんどいませんからね。

議員会館の家宅捜索はレアケース

 今回の秋元事務所の件を含め、議員会館事務所に強制捜査が入ったのはここ10年ほどで3回目です。その3件とも、神澤は見ています。

 ひとつは、前回の森裕子参議院議員のアバウトすぎる情報管理の記事でも書かせていただきましたが、小沢一郎衆議院議員の捜査をめぐる件です。

 2010年、民主党の小沢一郎幹事長(当時)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件の捜査で、秘書として会計事務を担当していた石川知裕衆議院議員の事務所が捜索されています。思えば、この頃の議員会館は建て替え前でしたね。

 もうひとつは、13年の自民党の徳田毅衆議院議員(当時)への捜査です。大手医療法人「徳洲会」グループの幹部らが、衆議院議員選挙の際に違法な選挙運動を行ったとする公職選挙法違反事件でした。

 ほかにも鈴木宗男衆議院議員(当時)の「ムネオハウス」疑惑などがありますが、これは02年の話ですね。議員会館内への家宅捜索というのは、それだけ数少ないということです。

 今回の秋元議員の件は秘書に対する捜査もあって、以前から関係者の間では話題になっていました。神澤が12月19日朝に出勤すると、秋元事務所のある議員会館のすべての出入り口に、見たことのない記者が大勢で張り込んでいたのでピンときたのです。

 ちなみに、ふだん国会に出入りしている政治部の記者さんたちとは、だいたい顔見知りです。彼らは日頃から国会議員や官公庁の幹部、議員秘書たちとコミュニケーションを上手に取っていて、物腰もやわらかいです。きちんと信頼関係を築いた上で、スクープになりそうな情報を仕入れるんですね。

 一方で、こういう騒動が起きたときにやってくるのは社会部の記者たちです。最初から追及姿勢ですし、事務所のドアの前や廊下に座って張り込んだりしていて、品がないように見えます。もっとも、今は廊下に座り込んでの張り込みは禁止されていて、ガードマンに見つかれば退出を指示されるようになりましたけどね。

ノックなしで事務所に押し入る検察職員

 当たり前ですが、国会や議員会館のガードとセキュリティは非常に厳しく、空港以上に厳重なセキュリティチェックが行われます。読者のみなさまの中にも、議員会館に入る際の長蛇の列にうんざりした方がいらっしゃるかもしれません。特に予算要求の時期などは長い列ができるのですが、私たち秘書は専用の入り口からすっと入れるので、本当に申し訳ないと思いながら通っています。

 また、検察の職員たちは、すぐに議員会館の職員に案内されてノックもしないで突然事務所に入ってきます。なぜ議員会館の職員は家宅捜索に協力するのでしょうか。それに、入館手続きを省略するだけならまだしも、ノックなしでドアを開けるというマナー違反も疑問に思います。

 そもそも、家宅捜索というのは嫌がらせというか精神的に追い込むことが目的としか思えません。家宅捜索を受けたことのある事務所の秘書の話では、事務所内のすべてのものを段ボールに詰めて持ち出され、それを精査もせずに何カ月も検察庁内に放置した挙げ句、急に期日を指定されて「取りに来い!」と命令されるそうです。

 普通の乗用車ではとても持ち帰れない量なので、引っ越し業者などに依頼して取りに行くと、今度は「受け取りの手続き」だと言って、また何時間も待たされるのだそうです。これが嫌がらせでなくて、なんなんですかね。しかも、クルマを待たせたことでかなりの延長料金がかかったと聞きました。

検察の本当の狙いは菅官房長官?

 それにしても、秋元議員の事件で中国企業が日本に持ち込んだとされる現金は数百万円と、それほど多額とはいえません。それなのに議員会館の事務所まで捜索するなんて、「裏がある」としか思えないです。

 おそらく、特捜部の本当の狙いは横浜が地元の菅義偉官房長官でしょう。横浜市はカジノ誘致の最有力候補といわれていますし、この事件をきっかけに、現政権やカジノ誘致にダメージを与えたいのではないでしょうか。そのくらいの狙いがないと、議員会館への強制捜査なんてしないと思います。

 検察とりわけ特捜部は、同じ逮捕権を持つ警察とは違って「バッジを取る」、つまり国会議員などの大物を逮捕することに心血を注いできました。小沢議員の件は失敗しましたが、前述の鈴木議員や日産自動車のカルロス・ゴーン前会長、昔なら田中角栄首相……と、誰でも知っている大物を狙ってきたんです。

 さて、秋元議員から菅官房長官まで司直の手は伸びるのでしょうか。今後の捜査のゆくえを見守りたいです。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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