前回のような高い投票率の選挙であったとしても、投票に行かなかった人は28%もいたのである。この人々は、そもそも政治に興味が全く無い人々であり、すでに政治に対してあきらめている、もしくは政治によって自分の生活が変わらないと考えている人々であるといえる。また今回、投票に行きながら無効票となったものが204万票もあったという報道もある。これは、まさに、投票に行ったが支持政党がなかったということにほかならない。
そこで、今回投票に行かなかった人は2種類いることがわかる。前回の選挙結果をふまえて、政治に興味がない、そもそも選挙に全く興味がないという人が約30%いると仮定する。そして残り72%から59%を引いた13%が、今回の選挙に対して、支持政党がない、または、投票したいと思う候補者がいないために「わざと行かなかった」という人々である。
●公明党支持者など「固定票」と無党派層の「浮動票」
さて、投票は「創価学会員だから公明党に入れる」のように、しっかりと支持政党が決まっている人々がいる。支持政党が決まっている人々のことを、政治の世界では「固定票」という。一方で、支持政党が決まっていない、そのときの報道内容や公約、政治的な雰囲気などによって支持政党が変わる人々のことを「無党派層」または「浮動票」という。
固定票は基本的に選挙に行く人であり、浮動票は、そのつど選挙に行ったり行かなかったり、あるいはそのつど支持政党を変えたりする人ということになる。
さて、前回の選挙で投票に行きながら、今回投票に行かなかった人の多くは「投票する政党がない」というものであることは報道の通りであるし、私自身もそのような声をよく聞く。
例えば55年体制以降の自民党に非常に強い不満を持っている「反自民」層や、反自民政権の中心として期待した民主党が、予想以上にひどいものであったということから、基本的にこれ以上民主党に期待することもできない、「脱民主」層などがこれに当たる。彼らは、そうでありながら、第三極政党にも全く期待できないという感覚を持っている。もちろん日本未来の党などは「元民主」でしかないし、また、日本維新の会も、事前に政策が一致しないなど、不安定さが否めない。要するに、「反自民を基調とした、ほかの中心政党を選べない人々」ということができる。そして今回の選挙では、この人々が、最も大きな票となっているのである。
この層を有権者数で見てみると、全有権者数1億436万193人のうち、棄権が4400万票ということになる。そして各党の支持率と票数は、このようになるのだ。
1.棄権 40.8% ー
2.自民 15.9%(1662万票) 61.3%(294議席)
3.維新 11.7% 11.3%
4.民主 9.2% 11.9%
5.公明 6.8% 6.5%
6.みんな 5.0% 3.8%
7.共産 3.5% 1.7%
8.未来 3.3% 1.9%
9.社民 1.4% 0.4%
10.大地 0.4% 0.2%
棄権票は自民得票の約2.6倍という数字になる。そしてこの中から全体の3割となる「投票に行かない人々」を引くと「反自民を基調とした、ほかの中心政党を選べない人々」が約1300万票ということになる。