【危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策】
14年、危険ドラッグに起因する死傷事件・事故が相次ぎ、同年6月には東京・池袋において1人が死亡し6名が重軽傷を負う交通死亡事故が発生しました。
こうした状況のなか、危険ドラッグによる被害を防止するため、14年7月、薬物乱用対策推進会議において、「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」が決定され、政府一丸となって対策を講じることとなりました。
政府の「緊急対策」を受け、地方厚生局による検査命令の実施など、関係機関が連携して危険ドラッグ対策に取り組んだ結果、14年3月時点で全国に215店舗存在した危険ドラッグ販売店は、15年7月に全滅したとされています。
また、インターネット上で危険ドラッグを販売しているサイトを発見した場合にも、プロバイダ等に対してサイトの削除要請を行い、14年12月から15年7月までの間に235サイトに削除要請を行い、189サイトが閉鎖又は危険ドラッグの販売を停止したようです。
【再乱用防止対策】
覚せい剤事犯検挙人員の約6割は再犯者であり、再乱用防止対策の強化が喫緊の課題です。薬物の再乱用防止を図るためには、薬物中毒・依存症者に対する対策だけでなく、薬物の中毒・依存に至る前の乱用の段階から、それぞれの薬物乱用者に応じた早期の対応を行うことが重要となっています。また、薬物依存に至った者の再犯防止を図るための対策としては、13年6月に刑の一部の執行猶予制度を導入する法律が制定されました。これによって病院に入院しての治療も受けやすくなりました。
これらを踏まえて、効果的な治療回復プログラムの開発・普及を推進して、関係機関・団体が連携を密にして、薬物乱用者の社会復帰支援や、薬物乱用者の家族への支援を実施していく必要があります。
【薬物の密輸阻止】
覚せい剤など、我が国で流通する乱用薬物のほとんどは外国から密輸入されたものと考えられることから、薬物乱用の根絶を図るためには、その需要の削減を図るだけでなく、供給を遮断することが重要となります。密輸入事犯については、覚せい剤密輸入事犯の摘発が高水準で推移しているほか、外国人が摘発されることが多く、とりわけ近年は薬物の仕出国・地域、ルートが多様化し、従来のアジア・北米を中心とした地域だけでなく、欧州、中近東諸国、アフリカ、中南米を仕出地とする摘発が増加しています。