英国を訪問中の環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)が登壇した集会で、歴史的な景観に大損害が出たようだ。英デイリーメールインターネット版は1日、「Greta Thunberg angers residents of Bristol after 30,000 of her supporters ruin the city’s historic College Green」と題する記事をアップした。
Greta Thunberg angers residents of Bristol after 30,000 of her supporters ruin the city’s historic College Green https://t.co/hAWF4w0J3M
— Daily Mail U.K. (@DailyMailUK) March 2, 2020
大聖堂前広場の芝生が壊滅
記事によると28日、英ブリストル市にあるブリストル大聖堂が立つ芝生の広場「カレッジグリーン」で青少年らによる環境保護団体の集会が行われ、グレタさんがメーンスピーカーとして登壇した。グレタさんは世界的な二酸化炭素の排出抑制の必要性を訴えたのだという。問題は、聴衆が約3万人訪れたことで、芝生の大部分が踏み荒らされてしまったというのだ。デイリーメールは、集会前と後の写真を掲載した。芝生だった場所は大量の足跡で埋め尽くされ、泥だらけになっていた。
大聖堂は12世紀に建設された修道院を起源に、16世紀に大聖堂が建築された歴史的建造物で、カレッジグリーンの緑と美しい教会建築が街の自慢だったという。同市の住民らは一連の集会を批判し、再建に向けて募金活動を始めることをSNS上で呼びかけていて、ブリストル市議会も募金活動を支援することになったという。
「人工的に維持された『芝生』は『環境』ではない」
2日には英BBCもこの問題を取り上げるなど、英国内で波紋が広がっている。
Twitter上ではグレタさんの支持者と、今回の騒動に対して反感を持つユーザーの間で激論が繰り広げられている。
「彼らは凶悪犯と同じだ。遺産を損なうことなく平和的な集会を開くことはできないのか?」
「人工的に維持された芝生は『環境』ではありません。芝生はより自然な緑よりも地球にとってあまり役に立たない」
「芝生が枯れたのは異常気象による降雨が原因だ」
こうした議論に、日本の環境保護NGOの関係者は次のように語る。
「ロケーションにこだわった結果、カレッジグリーンで開いたのでしょうが、運営側に少し配慮が足りなかったのではないかと思います。芝生を再生するためには、肥料やさまざまな農機具などが必要になり、相当量の二酸化炭素の排出が予想されます。
『そんな募金活動は全否定しろ。広場はそのままにしておけばいい』と過激な人は言うでしょう。そういう批判がさらなる反論を呼び、環境保護活動全般の推進を阻害してしまう可能性を危惧しています」
グレタさんは今、何を思うのか。
(文=編集部)