4月1日、安倍晋三政権が推進する「女性活躍社会」を法的に支える「女性活躍推進法」が施行された。従業員301人以上の企業では、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務付けられる。
民間大手調査会社の帝国データバンクが4月13日に発表した「新任女性社長企業の実態調査」によると、2015年以降に女性社長が誕生した企業は5740社あるそうだ。このうち、社長交代によるものは5254社、起業によるものは486社だった。年代別では、社長交代のケースでは50代が、起業のケースでは30代が最多となっている。業種別では、社長交代では意外なことに「建設業」がトップ。男の仕事、ガテン系などといわれていた建設業でも女性の進出は目覚ましい。一方、起業では「サービス業」がトップで、順当といえそうだ。
都道府県別では、社長交代のケースでは東京都が854社で圧倒的なトップ。企業数の多さから考えて順当なところだ。次いで大阪府の431社、神奈川県の268社、愛知県の249社、埼玉県の224社の順。これが起業となると大きく様変わりする。トップは174社の東京都で変わらない。起業した会社の3分の1が東京都という集中ぶり。しかし、2位は福岡県の51社、次いで愛媛県の33社、北海道の28社、岡山県の25社の順。ネット社会の発達により、おそらく、ネット系の会社が中心となっているのだろう。また、地方創生や町起こし、村起こしといった動きも関係しているのではないか。
このように、民間では安倍政権が旗を振るまでもなく、女性の社会進出は進み、女性社長が誕生している。安倍政権が女性活躍社会を唱えるのなら、もっとも対応が必要なのは、実は政界、国会議員なのだ。本来、民間の手本となるべき国会が「女性がもっとも活躍していない社会」となっている。
OECD国のなかで最下位
国立国会図書館が調査した「女性国会議員比率の動向」によると、15年9月1日現在、女性国会議員は衆議院で定数475人に対して45人(9.5%)、参議院で定数242人に対して38人(15.7%)、両院を合わせた国会議員全体では定数717人に対して83人(11.6%)となっている。
世界の女子国会議員の比率を見てみると、衆議院は190カ国中で155位、参議院は二院制議会を採っている76カ国の上院のなかで54位でしかない。OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国と比較した場合、女性国会議員の比率は衆議院が34カ国中34位、参議院が二院制を採っている19カ国中17位という状態だ。