お台場、海水浴場開設のために予算確保
葛西海浜公園の海水浴場オープンに触発されたのが、お台場にあるお台場海浜公園だ。港区は海水浴場開設のための予算をつけ、お台場での海水浴復活を目論む。葛西とお台場は、目と鼻の先にある距離。関係者は葛西で遊泳が可能であるならば、お台場でも可能だと考えているのだ。
行政が後押ししていることもあり、お台場でも海に入って遊ぶイベントが実施されている。しかし、先の4基準によってお台場では遊泳は禁止されている。特別に許可を受けたイベント時のみ、海に入ることができるが、それでも「水面に顔をつけない」ことが条件になっている。
「水面に顔をつけない」という条件を課されても海水浴場の開設にこだわるのは、海水浴場による集客効果、いわば人が集まることで地元に経済効果をもたらそうという思惑があるからだ。
お台場には、ショッピングセンターなどが集積している。東京ビッグサイトも目と鼻の先だ。海水浴を楽しんだ後、食事やショッピングでお金を落としてくれれば、お台場にとって大きな経済効果を生む。そんな思惑がお台場の関係者からは透けて見える。だから、「葛西に続け」とばかりに意気込んでいる。
生活排水が東京湾に流れ込む
しかし、事はそう簡単ではない。めでたく再オープンに漕ぎつけた葛西海浜公園ではあるが、いつ海水浴場が閉鎖になってもおかしくない状態にある。なぜなら、東京湾の水質は、ひとたび雨が降ればCOD濃度が一気に跳ね上がってしまうのだ。別の都庁関係者は、こう漏らす。
「都庁内でも、水質改善にはもっと時間がかかると思っている職員は多かった。これほど早く海水浴場が再オープンできたのはNPOの力が大きい。そういう意味で、NPOの水質改善への努力は素晴らしいものがあります。それでも、これ以上の水質改善は難しいのではないかというのが本音です。なぜなら、東京23区のほとんどは下水道が合流式で整備されているからです。合流式下水道は雨水と汚水を一緒に処理してしまうため、雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流されてしまうのです。東京都は下水処理能力を向上させていますが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が頻発するようになりました。どんなに処理能力を向上させても、限界があります」