公明党は6日、新型コロナウイルスをめぐる支援策の一環として、今年度、大学受験予定の高校3年生や既卒の浪人生を対象に、一律2万円を給付するよう政府に要請した。これに対して、インターネット上では「受験生かどうか、どうやって判別するの?」「何で大学受験だけなん?」などと疑問の声が相次いでいる。
複数の報道によると、公明党の竹内譲政調会長(衆議院議員、比例近畿ブロック)ら党関係者が同日、加藤勝信官房長官や萩生田光一文科相を訪ね、大学受験・就職に挑む高校生115万人、高校を卒業されて受験に挑む浪人生11万人の126万人を対象に大学入学共通テストの受験料相当額の2万円を「頑張ろう応援金」として支給する受験生支援給付金(仮称)の創設を要望したという。給付総額は事務費などを含む280億円となる見込みで、加藤官房長官らは「実施に向けて条件整備を整えたい」と応じたという。
一連のコロナ禍をめぐる政府が打ち出した一連の支援策「Go Toトラベル」「Go Toイート」では、多くのメリットを受けられる大手事業者や消費者がいる一方、恩恵をほとんど得られない中小零細事業者との格差が拡大していることに関して疑問の声が聞かれる。今回の一件も、Twitter上では以下のような懐疑的な意見が目立つ。
「明らかな選挙活動」(原文ママ、以下同)
「2万じゃなくて受験費用全負担にしたってや…」
「意味が分からん。何で・・・」
「給付金より、『免除』、『減額』という考えは?それとも、『受験料払う』『給付を受ける』じゃないとまずいのかね??」
「まずは今の大学生を大学に通わせろ〜」
「またお金届くの遅いんでしょ??受験終わってるかもじゃん 現に総合型選抜組は試験終わってるらしいし、、」
野党「選挙対策」、文科省「共通テストまで間に合わないかも」
立憲民主党関係者は話す。
「明確な選挙対策だと思います。年内総選挙はさすがにないでしょうが、これからの受験シーズンでもっとも効果が際立つ政策ですから。大学受験をせず就職する高校生も対象に含まれているようですが、そうなると『受験生給付』法案とはなんなのかという疑問が湧いてきます。
もちろん、受験生やそのご家族を支援すべきだという考えには賛成です。しかし、給付という政策が適正なのかは疑問です」
文部科学省関係者も次のように困惑する。
「実際に『受験生』とは誰を指すのか、そして特定し給付するのは、我々のみならず各自治体の担当者にも大きな負担をかけることになると思います。前回の特別定額給付金と同じスキームであれば、すでに組み上がっていることもあり、迅速に給付することもできるでしょうが、本省を中心に新しい配布システムを作るとなると相応の時間がかかると思います。
どのような主旨なのか我々にもよくわかりませんが、これから用意して大学入学共通テストまでに給付を間に合わせるのは困難ではないかと思います」
早い大学では今月にも推薦など入学試験は始まる。政府与党のコロナ支援策は迷走を続けている。実のある支援策になればいいのだが。
(文=編集部)