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2013.07.18 15:50
2013.04.05 06:05
大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第26回
損失“飛ばし”、不当便宜供与…大手新聞社、合併で次々浮き彫りになる不祥事
松野は顎に手をやり、考え込んだままだった。
「いや、その、噂は先輩をめぐる話です」
「え、俺をめぐる話? 不倫の話じゃないわな」
「それはもちろんです。それはお互い様で、僕もおおよそ知っていますから……」
「じゃあ、何だよ」
「先輩が、地元の和歌山県の町から不当な便宜供与を受けているという噂でした」
村尾の持ち出した噂は、松野に衝撃を与えた。卓袱台に両手をつき、村尾を睨みつけた。
「その話、なぜ、君が知っているんだ? 噂になんか、なっていないぞ」
「え、やっぱり本当なんですか?」
「本当とか嘘とかいうことじゃない。その話は、うちのゲシュタポを使って抑え込んだ。うちの連中でも取り次いで処理した奴とゲシュタポしか知らない。その2人から多少漏れても、数人だろう。それをなぜ知っているんだ?」
「蛇の道は蛇です。うちのデリバティブの損失だって、やっぱりゲシュタポを使っています。知っている人間はもう少し多いでしょうが、噂として流布したことはないはずです。それを先輩だって知っていたわけでしょ?」
村尾がやんわり反論すると、松野も難しい顔をするだけで、言葉が出なかった。それを見て、村尾が続けた。
「多分、大したことじゃないんでしょう。でも、合併するんですから、どんな話だったのか、教えてくれてもいいじゃないですか、先輩」
(文=大塚将司/作家・経済評論家)
※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。
※次回は、来週4月12日(金)掲載予定です。
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