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韓国人急増で共存共栄図る「国境の島」、消滅危機との戦い…島民は減少

構成=長井雄一朗/ライター
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韓国人急増で共存共栄図る「国境の島」、消滅危機との戦い…島民は減少の画像1「対馬厳原港まつり」での「朝鮮通信使行列」の様子

 島国である日本は、大小すべての島を合わせると6852、そのうち有人の離島は418を有する。今年4月から施行された「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域の係る地域社会の維持に関する特別措置法」(以下、有人国境離島地域保全特別措置法)は、国境近くの離島の振興を図り、人口減少などを抑制する目的の法律だ。

 特に、韓国との国境に面する長崎県の対馬は、韓国人観光客などで賑わいを見せる一方、若者の島外流出や少子高齢化が止まらず、将来的には消滅可能性都市のひとつに数えられる課題先進地でもある。

 有人国境離島地域保全特別措置法の施行を踏まえて、対馬市役所に課題や対策について話を聞いた。

――4月1日から有人国境離島地域保全特別措置法が施行されましたが、その期待や効果について、いかがでしょうか。

対馬市役所 財部前市長時代から現在の比田勝市長に至るまで、対馬は「防人の島」として、国が国土保全の観点から対馬を特別に位置付けない限り存続し得ないという趣旨の「防人の島新法」を提唱してきました。その動きがようやく実ったということで、当然ながら期待しています。立地的に有人国境離島地域保全特別措置法に合致した島であり、国からの交付金などを有効活用し、対馬にあった施策を実行していきたいと考えています。

 対馬は離島なので、福岡市から物資が渡るまでのコストが高く、さまざまな商品が割高な上、先進的な医療を島内で受診できないなどの課題があります。また、大学がないため、毎年高校を卒業した300~400人の若者が島外に流出しています。雇用も一定数を確保できるのは、農業、林業、水産業などの第一次産業、建設業、観光業などの産業に限定されており、そのため、本土並みの雇用を確保し、一度は流出しても対馬に帰ってきてもらえるような生活環境を整備する必要があります。

 韓国人観光客は約26万人(2016年)ですが、これに国内観光客も取り込んで、活性化を図っていきたいと考えています。幸い、国境離島ならではの歴史や文化財、パワースポット、大自然、海水浴、サイクリング、トレッキングなど、豊富な魅力があります。

韓国人急増で共存共栄図る「国境の島」、消滅危機との戦い…島民は減少の画像2対馬のシンボル的存在であり、古来より霊山として崇められている「白嶽」(しらたけ)
韓国人急増で共存共栄図る「国境の島」、消滅危機との戦い…島民は減少の画像3「対馬厳原港まつり」での「朝鮮通信使行列」の様子
 有人国境離島地域保全特別措置法には、運賃の低廉化、輸送コスト支援、雇用拡充、滞在型観光の推進などのメニューがあり、それらを実行するほか、さらに地方創生関係交付金や離島活性化交付金などを活用することで、本土並みの生活水準への向上を目指します。

 ただ、同法のなかに観光客等(住民以外)に対する運賃低廉化も組み込まれていれば、より多くの国内観光客や帰省客等を呼び込むことができたと考えていますが、そうならなかったのは残念です。

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