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韓国人急増で共存共栄図る「国境の島」、消滅危機との戦い…島民は減少

構成=長井雄一朗/ライター
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消滅可能性都市の危機に直面する対馬

――国勢調査によると対馬市は高齢化率が33.9%(15年)で、将来的には消滅可能性都市となる可能性も指摘されています。この対策については、いかがでしょうか。

対馬市役所 対馬でも、各市町村の課題である人口流出や高齢化については歯止めがかかっていません。そこで、島内雇用の拡充を図り、UターンやIターンを促進することで歯止めをかけたいと考えています。有人国境離島地域保全特別措置法に基づく雇用拡大については、現段階では島内70の民間事業所が手を挙げており、事業・雇用拡大を目指しつつ、雇用者が集まるような魅力を醸成していく必要があります。

 以前は漁港や道路整備などの公共工事も多く、建設産業の従事者も多かったのですが、近年は減少し、産業構造も転換しました。

 課題は、ほかにもあります。イノシシやシカの生息頭数の増加により農作物等の被害が増えていることや担い手不足と相まって、耕作放棄地も増加しているのが現状です。江戸時代にイノシシを全滅させたことがありますが、平成に入ってから、侵入経路は不明ですが、イノシシが島内に流入。田畑を荒らし、山の植生が激減し、農作物被害等に加え、生態系の影響や下層植生の減少による土砂崩れが発生するなど、島民の生活に様々な悪影響を及ぼしております。

 一方、漁業では、磯焼けなどの自然現象や乱獲等による水産資源の減少に伴い漁獲高も減少し、第一次産業の後継者や担い手が不足しています。有人国境離島地域保全特別措置法の施行によって、こうした課題を打開すると共に「魅力ある対馬」として再生し、事業・雇用拡大を図っていきます。

韓国人観光客が急増、年間30万人超えも

――韓国人観光客が年々増加していますが、島にとっては貴重な収入源になっているのではないですか。

対馬市役所 厳原・比田勝両港の国際ターミナルの開設はそれぞれ1997年、99年。韓国人観光客が著しく増加したため、国際ターミナルの入管体制や待機所の拡充を行いました。今後も、韓国人観光客とは友好関係を保ちつつ、共存を図りたいと考えます。課題は、韓国人観光客が急増している現状に審査ブースなどの体制が追いついていないことです。

 以前より韓国から対馬に渡るニーズは高く、ホテル・民泊など宿泊施設の受け入れ体制を増やしてほしいという要望がありました。そのため、企業誘致を行い、今年3月には約300人が宿泊できる東横イン対馬厳原店が開業、対馬北部でもホテル・ペンション等の建設着手やさらなる建設計画があり、宿泊インフラの整備については解消の途に就いたと感じています。

 なぜ韓国人が対馬に観光に来るのかといえば、まずは一番近い外国であるという認識が高いこと、さらに自然を利用した魚釣り、トレッキングのアクティビティや自然そのものに需要があるためで、日本のお酒、スナック菓子やわさびなどもお土産品として購入されていて、島内には免税店も増えています。今年は韓国人観光客が30万人に達する可能性も十分にあると思います。

 一人ひとりの消費額は少ないのですが、今後はより消費してもらうためにマリンスポーツやサイクリングなどの体験型観光を推進し、道路などのインフラ整備も検討すべきだと思います。ただ、今まではそれほど影響を受けませんでしたが、現在は韓国の社会情勢や北朝鮮など政治的な問題もあり、韓国人観光客の推移について不透明な面もあります。

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