「人としての幸福」を実感できる対馬での生活
――韓国人観光客に比べて国内観光客が少ない印象がありますが、広報・宣伝戦略についてはいかがですか。
対馬市役所 現在のところ、離島観光については「安・近・短」が好まれる傾向が強いのが実情で、ほかとは差別化を図る必要があります。昨年3月30日に、福岡市と空路・海路で直行便(1時間程度)がある離島の3市2町(対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町・屋久島町)は、福岡市を中心とした広域観光の推進などに取り組み、連携して地域と九州の発展を図るため、「福岡市・九州離島広域連携協議会」を設立しました。
「福岡市からダイレクトに行ける」を売り文句に、旅行や商品の情報発信を行っています。今後も、有人国境離島地域保全特別措置法の交付金などを活用して国内への広報・宣伝活動を強化し、島を訪れやすい施策を行いたいと考えます。
滞在型観光を増やすために、活気にあふれ自然と歴史を体感できるようなイベントも検討中です。一例として秋口にはサイクリングイベントの実施を予定しています。南北の島をつなぐ道路が1本しかなく迂回路も少ないため、島を縦断するイベントの開催には工夫が必要ですが、起伏のある地形がサイクリング愛好者に人気が高いため、イベントの実施が検討されました。そのための道路整備などは、今後の検討課題となります。
――「対馬市島おこし協働隊」も活躍されているようですが。
対馬市役所 島おこし協働隊は、対馬の活性化に新たな風を吹かせようと、11年4月に「地域おこし協力隊」制度を活用して設置されました。都市出身の意欲と専門性あふれる人材を積極的に受け入れ、「島おこしの新たな担い手」=「島おこし協働隊員」として、市長が最長3年の任期で委嘱をしています。
現在は計10名が日本各地から対馬に移住して活動中です。ツイッターやフェィスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で対馬の情報発信を行い、定住する方もいます。関心をお持ちの方は、ぜひ問い合わせをいただければと思います。
――移住サポートも強化していますね。
対馬市役所 早くからU・Iターン(移住)のサポートに向けて窓口を一本化しており、今後は「しま暮らし応援室」を設置しながら、島での衣食住をサポートする態勢を整えていこうと考えています。若者だけでなくUターンやIターンの方々も歓迎し、移住や引っ越しの支援、島内での住まいを見つけるための各種サポートも実施し、空き家改修の経費支援にも取り組んでいます。
――「対馬に移住したい」と考えている全国の方々に一言。
対馬市役所 生活では利便性に欠ける部分はありますが、自然豊かな島で、地元で取れる魚は新鮮でおいしく、衣食住がゆったりした「人としての幸福(しあわせ)が実感できる島です。農業や漁業などの就労支援も行っており、生活しやすい対馬市にぜひ一度足を運び、移住を検討していただければありがたく思います。
――ありがとうございました。
(構成=長井雄一朗/ライター)