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韓国、65歳・朴槿恵前大統領に懲役45年か…弁護士確保も困難、パンドラの箱が追い打ち

文=高月靖/ジャーナリスト
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朴被告の弁護は「百害あって一利なし」

 弁護士のスカウトを手伝ったのは、朴被告の弟の妻・徐香姬(ソ・ヒャンヒ)氏。徐氏は弁護士だが、2012年8月から昨年9月まで休業していたというから心もとない。

 朴被告が身内にすがるほど弁護士集めに苦労する理由のひとつは、カネ。資産総額31億7000万ウォン(約3億1000万円・2015年)の朴被告に、法曹界の大物を何十人も揃えた弁護団を維持する余裕はない。集まった7名も、朴被告に同調する政治的信条から半ばボランティアで引き受けた状態だ。

 加えて、大手法律事務所がどこも朴被告の弁護をやりたがらないという事情がある。誰が新大統領になろうと、次の政権は朴政権の断罪から出発せざるを得ない。そんななか朴被告に味方して新政権と衝突するのは、大手法律事務所にとって百害あって一利なしというわけだ。

大手法律事務所は財閥トップの弁護で大忙し

 そしてもうひとつの理由が、人手不足。朴被告をめぐる一連の事件では、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を含むサムスングループ首脳5名、韓国ロッテの辛東彬(シン・ドンビン)会長といった韓国大手財閥のトップも続々と起訴されている。財閥が潤沢な資金力で大手法律事務所を片っ端から囲い込んだため、法廷で利害が対立し得る朴被告を担当する弁護士がいなくなったわけだ。

 サムスングループの李副会長は、韓国有数の法律事務所が弁護団を結成。贈賄容疑の専任弁護士だけで13名を数える。辛会長も韓国最強といわれる法律事務所が総出でサポートする。親族にまで頼って無名弁護士をかき集めた朴被告との落差は、残酷なまでに鮮明だ。

チョン・ユラ帰国で期待される「爆弾発言」

 5月18日には一連の事件に絡む裁判で、贈賄で起訴された病院関係者に有罪判決が下った。朴被告の容疑と直接の関わりはないが、検察の主張がひとつ裏づけられた格好だ。

 また、5月31日には不正入学に絡む業務妨害などで逮捕状が出ていた崔順実被告の娘チョン・ユラ氏が、デンマークから韓国へ強制送還された。現地メディアが彼女につけたニックネームは「パンドラの箱」。朴被告と崔被告の関係を熟知するチョン容疑者が、自分の判決を軽くするために両者の内情を暴露する可能性もあるからだ。

 完全無罪を訴え、検察との全面対決に踏み切った朴被告。だがその前途は早くも暗雲が垂れ込めている。
(文=高月靖/ジャーナリスト)

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