いずれにせよ、坪単価80万円台ならば常識の範囲内といえる。しかも、加計学園が自ら「坪単価80万円台」であるとする書類を提出していることが重要だ。
では、いったい坪単価147万5700円という数字はどこから出てくるのだろうか。黒川氏は、「明らかに建築費水増しではないでしょうか」と指摘する。
今治市議会は3月3日、獣医学部設置経費192億円の半額に当たる96億円の補助金を支出すると議決している。水増しした建築費を基に、補助金の申請をした疑いがある。
バイオハザードの危険も
共同プロジェクトが問題にしているのは、建築費水増し疑惑だけではない。入手した建築図面を見たライフサイエンス(生命科学)の専門家は、「これでは100%バイオハザードが起きる」と懸念を示している。
バイオハザードとは、病原体や細菌の実験・研究などで、人体・自然の生態系に生じる危険のことをいう。もし事故が起きれば、大変な事態になってしまうだろう。黒川氏は、こう指摘する。
「BSL3(バイオセーフティレベル3)の部屋は、たった6坪。しかも、一般学生が通行する廊下などを通らなければ実験施設に到達することができません。本来は、外界とは完全に隔離された環境にしなければならないものです」
図面を見た専門家は、動線もメチャクチャで、高度なウイルス研究を行うには不適切だと分析する。手抜きの設計によってコストを安く浮かせ、差額分を横領する意図がうかがえるという。
木村・黒川両氏は、この専門家のコメントを盛り込んだ「加計学園の大学設置審査に関する要望書」も、10月3日に文部科学省へ提出した。
最大の焦点は安倍首相への告発
告発する相手は3名である。
・管良二今治市長…告発状によると、以下の理由により背任罪で告発する。
「学校法人加計学園の利益を図る目的から、厳密な精査を敢えて十分になさないままに、(中略)「大学立地事業補助金」として(中略)96億円を限度額にして(中略)交付することを決定し、これを同学園との間で約定し、以て同金額の損害を与えた」
・加計孝太郎理事長…報道等では「孝太郎」と記述されているが、告発状や愛媛県知事宛ての建築工事届には「晃太郎」と記載されている。告発状には、次のように記載されている。
「長期的に健全で安定した学校経営が可能かどうかについて、極めて疑わしいにもかかわらず、上記のとおり、大学を誘致することのみを第一義としている今治市から、大学の設置・運営名下に、多額の資産(土地・補助金)を詐取せんと企図」したため、詐欺罪で告発する。