真打登場でムードは最高潮に
中山氏の演説が終わると、小泉氏がマイクを握った。小泉氏は演説する際に、冒頭で各地の名所や名産品などを話題にして地元民の心をつかむことが有名だ。ここで何を話すかが注目されたが、自身が高校生の頃に野球部の試合で百合丘高校を訪れたことを思い出すと明かした。そして「みなさんの中に百合丘高校出身の方はいますか?」と問いかけ、地元民の親近感を誘った。
小泉氏は、時折ジョークを交え、笑いを取りつつ政策を訴えた。自民党がスローガンとして掲げる「この国を、守り抜く。」という点に力点を置き、日本の各地を考慮して国を守れるのは自民党だと強調した。
中山氏の最大のライバル・笠氏が所属する希望の党を念頭に置いて、「希望の党は都市部しか見ていない」と批判。さらに、笠氏個人についても、「ライバルは前回、民主党でした。今回は希望の党のようです。次回はどこの党かわかりません」と揶揄すると、群集から笑いと拍手が湧き起こった。
群集のなかには小さい子を連れた母親も多くいたが、小泉氏の演説中にその場を後にする人はほとんどいなかった。それだけ、小泉氏の演説は聞く人の心をつかんでいたといえる。約15分の演説が終わると、壇を降りて聴衆に歩み寄って一人ひとりと握手して支援を呼びかけた。
小泉氏の演説によって大いに群集は沸いたが、依然として中山氏の戦いは厳しいとみられる。演説を聞いていた60代の男性は、「比例区では自民党に入れるつもりだが、小選挙区では中山氏に入れるつもりはない」と言う。その理由として、「笠氏は選挙期間以外でも、頻繁に駅前に立って活動報告をしているが、中山氏は選挙期間以外では演説など地元での活動が見えない」ためだとしている。
近くにいた70代の女性も同様の感想を漏らす。
「選挙期間だけ選挙カーで名前を連呼する昔の選挙をしているのが中山氏で、信頼できない」
小泉氏の演説に満足げな表情を浮かべていた聴衆が多かったが、それが中山氏の票に結びつくかは不透明だ。
(文=編集部)