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会社が所有する土地を売却する際、「会社の土地を売却する担当」となった経理課の職員が8億円も値引きして売却してしまった場合には、会社に4億円の損害を与えてしまったと考えることができます。これを故意に(わざと)会社に損害を与えることを理解しながら行った場合、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される背任罪(刑法247条)に問われる可能性があります。
すなわち、「他人のために」「その(他人の)事務を処理する者が」「自分や第三者の利益を図ったり」または「本人(その他人)に損害を与える目的で」「任務に背く行為」をして「本人(その他人)に損害を与えた」場合、背任罪という特殊な犯罪が成立します。
会社務めの人なら、その会社のために事務をしているわけですから、それにもかかわらず、会社に損害を与えることを知りながら任務に背く行為をして、実際に損害を与えた場合、罪に問われるわけです。
これを国に務める公務員(国家公務員)の場合に当てはめると、公務員は「職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法第96条)」と規定されているので、国のため、国民全体のため、公共の利益のために勤務しなければなりません。
そのため、もしこの公務員が「国の財産を売却する職務」を担当しているにもかかわらず、市況価格よりも極端に安価で売るようなこととすれば、国や国民全体の利益を害することになるわけなので、背任罪が成立する可能性があります。
なお、背任罪の刑罰は「個人」に科される罪なので、近畿理財局や財務省自体が刑罰に問われることはありません。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)
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