大相撲の横綱・日馬富士と伊勢ケ浜親方は11月29日14時過ぎ、太宰府市の太宰府天満宮で記者会見をした。この会見で日馬富士は、何をしゃべらなかったのか――。
伊勢ケ浜親方は当初、15分程度で会見を終わらせようとしたが、マスコミ側は自由な質疑応答を要求するなどして、すったもんだがあった。
そもそも、なぜ29日の午前に相撲協会に引退届を出したのか。
「この日、番付編成会議が行われることになっていたからだ。同会議の前に“意思表示”をしなければ、来年春場所の番付に『横綱日馬富士』が堂々と載ることになる。相撲協会はこれを避けたかったのではないか」(マスコミ関係者)
会見の冒頭、フラッシュの雨の中、日馬富士と伊勢ケ浜親方は頭を下げ続けた。会見で印象に残った言葉は2つ。まず一つは、伊勢ケ浜親方の「なぜ、このようなことになってしまったのか、ただただ不思議で残念でなりません」。もう一つは、日馬富士の「先輩横綱として、弟弟子が礼儀と礼節がなっていない時に、それを正し、直し、教えてあげるのは先輩としての義務だと思っています」だ。さらに、「今まで酒を飲んで問題を起こしたことはありません」「酒癖が悪いと言われたことは一度もないです」とも断言した。
「貴ノ岩関にけがを負わせて、心も傷つけたと思います」としながらも、「『彼のためになる、正しいことをしている』という気持ちが強い、行き過ぎたところがあった」と述べ、暗に貴ノ岩の態度に問題があったことを匂わせた。
報道陣から「2日目まで土俵に上がっていたが、その時の気持は?」と聞かれ、日馬富士は「暴行のことが新聞に出ることもわからなかったし、親睦会のあと貴ノ岩が謝りに来て」と答えた。事件に発展するとの認識がなかったことが、本人の言葉から裏付けられた。
苛立つ伊勢ケ浜親方
伊勢ケ浜親方が色をなす場面も多く見られた。「公益財団法人の理事でもあるが、これまでの自身の対応を振り返って、どう評価するか」と聞かれると、「私ですか。私は全部、筋道を通して、きちんとやってきました。それだけです」「(暴行を)知ってすぐに謝罪しました。電話でもしました。私は謝罪に行くと言って、また断られた時もありましたけれど」と自身の正当性を強調した。