今冬のアニメで注目されている作品のひとつに『からかい上手の高木さん』がある。TOKYO MXなどの「あにめのめ」枠で月曜日23時などから放送されている青春コメディだ。
累計300万部を突破した同名の原作コミック(山本崇一朗/小学館「ゲッサン」連載中)を映像化した本作は、“高木さんつながり”ということで東京・墨田区押上の「高木神社」とコラボレーションを行うという異例の取り組みも見せている。
物語は、中学校で隣の席になった女の子・高木さんと、何かと彼女にからかわれる男の子・西片くんのやり取りがメインだ。そして、視聴者は2人のやりとりをニヤニヤして楽しむ……そんなソフトなイメージのアニメ作品と“おカタい”イメージのある神社のコラボは、なぜ成功したのか。
テレビアニメ『からかい上手の高木さん』宣伝プロデューサーの前川亮氏と、高木神社の田中康雅禰宜に話を聞いた。
オリジナル御朱印帖が大ヒット?
――コラボの内容について、あらためてお願いします。
前川亮氏(以下、前川)“高木さんつながり”で高木神社とコラボすることとなり、去年12月のアニメのヒット祈願を高木神社で行いました。赤城博昭監督や主人公の高木さんの声を担当する高橋李依さん、オープニング主題歌『言わないけどね。』を歌う大原ゆい子さんのほか、製作委員会のスタッフが参加しました。
12月30日からは「からかい成就おみくじ」の販売をスタートしています。「からかい上手」と「成就」の掛け詞です。展示物として、社務所横の掲示板に、高橋さんや原作者の山本先生、赤城監督らの直筆メッセージが書かれたおむすび型の「むすび絵馬」や等身大パネルを掲示しています。
――オリジナル御朱印帖は、かなり好評のようですね。
田中 京都の業者が一つひとつ手作りで作成しています。今後はオリジナルの御守と絵馬も作成する予定です。
――原作では、高木さんと西片くんが神社で話すシーンがあります。アニメでは、高木神社が舞台になるのでしょうか。
前川 今回のコラボにおいては、名前の共通点や「恋愛成就」「縁結び」といった親和性を軸にお話を持ちかけ、外側から一緒に盛り上げていくという方向性になりました。
そもそも、『高木さん』と神社との接点はなかったのですが、たまたまネットで高木神社を見つけ、自宅からも近かったので見に行ってみました。そこでアイドルの高木雄也さんのファンの方々の絵馬が多くかかっていたのを見かけて、「エンタメごとにご理解のある神社なのかな」と期待して、コラボの話を持ち込みました。
――最初は驚かれたのではないですか。
田中 「なんでだろう」とびっくりしました。しかし、こちらとしてもエンターテインメントの要素を取り入れたいと思っていたので、ありがたいお話でした。お話をいただいてから原作を読み、とてもおもしろかったので、すぐに受けることにしました。
前川 ありがたいことです。ラブコメ要素も多く含まれており、「縁結び」という部分にも強い接点があると思い「高木神社とぜひコラボしたい」と思っていましたが、話を持ち込む際はかなりドキドキしました。受け入れていただいたことで、大きな縁を感じましたね。
田中 高木神社は、縁結びの神社でもありますからね。
――縁結びといえば、原作のスピンオフコミックでは高木さんが将来結婚しているお話が連載されていますね。
田中 去年参拝された方から今年になって「結婚しましたよ」というお言葉をいただいたり、絵馬に「彼女ができました」と書かれたりする方もいます。みなさんのご縁を結んでいただければと思います。『高木さん』とのコラボもご縁のひとつです。ファンの方が高木神社で知り合ったり、本来はなかなかお会いできない方同士が会われたりする機会にもなっているようで、みなさんのご縁が広がっていけばいいですね。
――これまでも『らき☆すた』が埼玉の鷲宮神社とコラボした例がありますが、それはご存じでしたか。
田中 はい、知っていました。
前川 コラボすることで、アニメと神社にとって相乗効果があればいいと思います。ただ、高木神社はいわゆる町の神社なので、「これ以上新しい参拝客が増えても困るかな」「地元の方に嫌がられたりしないかな」という不安もありましたが、お互いに認知度が高まるなどの効果が見込めます。神社とアニメの間でいい関係をつくりたいですね。
ツイッターで「#高木さんめ」が話題に
――これまでに3回が放送されましたが、視聴者からの反応などはいかがですか。(※取材は1月25日)
前川 高木さんを演じる高橋李依さんがとても魅力的に演じてくださっていて、オンエア中のツイッターでの“実況”も、ありがたいことに毎回トレンドに入っており、月曜23時という放送時間にもかかわらず、初回から手ごたえを感じています。3話、5話でエンディングが変わったことへの反応も大きく、いい流れができあがっています。